精神疾患の中には、その時代背景などに影響され呼び名を変えているものがたくさんあります。
ここではいくつか代表的なものを紹介していきたいと思います。
早発性痴呆→精神分裂病→統合失調症
現在統合失調症と呼ばれている病気に相当する表現は、かつてクレペリンが提唱した頃は早発痴呆(ラテン語でDementia Paraecox)と呼ばれていました。
またその後は、英語名のschizophreniaを直訳した意味である精神分裂病という言葉が用いられるようになりました。ただしこれは英語では物事の思考が分裂してしまうといったようなニュアンスであるのに対し、日本語では精神そのものがすべて分裂してしまったような表現になっています。
これは適切ではないということで統合失調症という言葉が用いられるようになってきました。ただ、統合失調症という表記になったのはここ数十年のことであるため、少し古い資料や文献を見てみると精神分裂病という表記がされていることもあります。
痴呆症→認知症
認知症は、以前は痴呆症と呼ばれていましたが、痴呆という表現は差別的な意味合いも含まれているため、より適切な表現として2004年に認知症という言葉が使われるようになりました。
自閉症・アスペルガー障害・広汎性発達障害→自閉症スペクトラム障害
自閉症、アスペルガー障害という言葉は今でも知っている人は多いと思いますが、実はDSM-5 ではこれらの診断名はすべて自閉症スペクトラム障害にとって代わられています。
自閉症スペクトラム障害・ADHD・学習障害の違いは? - 心理学のはな