今日のテーマ「統合失調症」
みなさんは統合失調症についてどのようなイメージをお持ちでしょうか?
もしかしたら中には話が通じないとか、病院に閉じ込められてるとか、すごく怖いイメージを持っている人もいるかもしれません。
実際に病気についての理解が進んでいなかった頃には、統合失調症を発症した方を人に見られないような座敷牢閉じ込めたり、鎖を繋いで置いて自由にさせないようにしていた頃もあったそうです。
ですが現在では、病気の研究も進んできていて、適切な治療もあります。そんな統合失調症について、どんな病気か見ていきましょう。
統合失調症とは
統合失調症は主に10代から20代の方がなりやすい病気です。現実と非現実の区別がつきにくくなり、結果として周りから見ると異質で意味不明な言動が見られることがあります。以前は精神分裂病とも言われていましたが、より適切な表現である統合失調症という表記に改められました。
症状
統合失調症の症状としては主に幻覚と妄想が挙げられます。
統合失調症の幻覚症状の多くは聴覚に現れるそうです。つまり幻聴ですね。
自分に対する悪口や誹謗中傷が誰もいっていないのにどこからか聞こえてくるというそうです。
妄想症状は空想や想像と似たような意味で使われる場合もありますが、そんな生易しいものではなく「どこかに盗聴器が仕掛けられている」「思考が読まれている」「誰かに命を狙われている」などといったような普通に考えたらありえないようなことを本気で思っている状態です。
ふとした瞬間にそのようなことを考えることは誰にでもありうることかもしれません。ただし妄想症状では、それを信じて疑わず、時に過激な行動に走ります。
また、症状が長く続いている場合には、幻覚や妄想などの陽性症状だけでなく、自発性の低下などの陰性症状も見られるようになります。
他にも解体症状といって言ってることが支離滅裂な症状(言葉のサラダなどといわれます)が見られることもあります。脈絡がなかったり意味不明なことを言っている状態です。
他にも統合失調症の重大な症状として、病識の欠如というものがあります。自分では自分の病気について認識できない方が多いので、病院に行くことを拒んだり、妄想症状と合わさって治療薬を毒薬と言い張ったりします。また、幻覚や妄想でも病識の欠如があるため、現実との区別がつきにくいです。
原因
実は統合失調症の原因は特定されていません。
ただ、有力な仮説としては、神経伝達物質であるドーパミンの過剰分泌ではないかと考えられています。
ドーパミンは快感を得たり、やる気を出したりするホルモンです。
そうそう、やっぱり焼肉といえばホルモン…いやそのホルモンちゃうわ
よくゲームでスーパープレイをしたり、パチンコで大当たりした時に「脳汁がどばどば出てる」なんて言ったり言わなかったりすると思いますが、そんな時に実際に脳で出ているホルモンの一つがこのドーパミンです。
そんな私たちにとって非常に大切なドーパミンですが、これが統合失調症の原因ではないか、という説があります。
幻覚や妄想といった症状は、ドーパミンの異常分泌で特定の音などの刺激に過剰に注意がいってしまった結果ではないかと考えられています。
また、ドーパミンの分泌を抑える薬は統合失調症に一定の効果があるそうです。
これらのことから、ドーパミン過剰分泌説が一番有力になっていますが、それだけでは説明できないことも多く、いまだ原因の特定はされていません。
その他の説としては感染症説、いくつかの要因(ストレスなど)が重なって起きるといった説もありますが、どれも推測の域を出なかったり、明確な原因を特定できずにいます。
治療
前述の通り、ドーパミン過剰分泌を抑える薬が効果を見せています。
薬物治療には抵抗があると思われる方も多いですが、統合失調症の場合、他の精神疾患以上に薬の力を借りる必要があります。
また、特に危険なのが症状が良くなったからといって、自分の判断で薬を飲むのを止めてしまうことです。
統合失調症は再発しやすい病気ですので、薬を少なくする際は必ずお医者さんと相談しながら計画的に減らしていきましょう。
初めて診察に行った患者さんの中にはそのまま入院を勧められるケースもあります。
これは放っておくと本人の健康を害したり、周囲の人の負担が大きくなると判断されるためです。
ですが、何度も言うように病識のない患者さんを入院させるのは簡単ではなく、時には拘束具を使う場合もあります。
下の画像は一例です。家族が暴れて拘束されているのを見るとショックを受ける方もいますので、入院の際は本人だけでなく周りの人も心の準備をする必要があるかもしれません。
顔は隠してあります
統合失調症は治るのか?
統合失調症は決して不治の病ではありません。
処方された薬を飲んだり、適切な治療をしていけば、症状が良くなる人が大半です。
ただし、前述の通り、症状が良くなったからといって勝手に断薬するのは厳禁です。
統合失調症は再燃率が非常に高く、薬物療法は10年以上続くことも少なくなく、症状の改善悪化に関わらず同じように薬を飲み続ける期間もあります。
ずっと薬を飲んでいる姿を見ている家族が「もう飲まなくていいんじゃない?」などといって止めてしまうこともあるそうですが、危険なのでやめましょう。
治る、と言うと薬も飲まず病気の面影がきれいさっぱりなくなることを想像しがちですが、実際には、日常生活がおくれるようになっても薬を飲んだり、病院に通う方が多いです(治るというのは誤解されるおそれがあので、寛解などといったりします)。
焦らず、少しずつ良くなっていくことが統合失調症の治療のポイントかもしれません。
まとめ
統合失調症はおよそ100人に一人が発症するとも言われ、決して珍しい病気ではありません。
明確な原因がわかっていないので、怖いと感じる人も多いかもしれませんが、まずはこの病気について知ることが対策の一つになるんじゃないかなと思います。
多くの人が発症する病気だからこそ、多くの人の目に留まり、差別や偏見の対象になってしまうのかもしれません。
病気を発症した人が少しでも楽に暮らせるよう、みんなで考えていく必要がありますね。
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