対人関係療法とは?
この治療法では、うつ病を生物学的・遺伝的な医学的疾患ととらえ、最初のセッションでは過度な自己批判や恥ずかしさなどのネガティブな感情は、性格によるものではなくうつ病のせいであると伝えます。つまり、これは回復への希望を患者さんにもってもらうという目的があります。
対人関係療法では、精神分析療法やクライエント中心療法で行われるように、過去の体験から生まれた葛藤やセラピストと患者とのその場の関係などはあまり重視されません。クライアントの現在の対人関係の問題に注目していきます。
そのため、まずクライアントにとって大切な人、重要な他者を最初に認識することを行います。
ただし誤解されがちですが、対人関係療法はうつ病の原因が対人関係であると言っているわけではありません。 あくまで対人関係における混乱がうつ病に対して与える影響を強調しているにすぎません。
対人関係療法の進め方
基本的に個人セッションで行われます。期間は12~16回の間であることが多いです。
初期
問題領域や治療目標の設定を行います。
対人関係療法では、
- 大切な人の喪失体験と悲しみ (対象喪失体験)
- 相手への期待に関するコミュニケーションの問題 (対人関係の不和)
- 人生の中での役割の変化に伴う困難 (役割の変化)
- 人付き合いの技術の欠如 (対人関係の欠如)
という4つの領域が重要になっています。 この4領域のうち、1、2領域に集中して治療を進めていきます。対人関係の不和や役割の変化を行うことが多いです。
中期
初期段階で設定した領域に取り組んでいきます。
この心理療法では、ロールプレイが用いられることがあります。学んだ対人技術を、セラピストを練習相手にして実際に行っていきます。また、そのように学んだ技術は日常生活においても使えるよう積極的に勧められます。ただ、形式に沿ってホームワークを行うというわけではありません。
終結期
治療の最後である終結期では、治療の振り返りや今後の課題の検討を行います。
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