アルコール依存症と再飲酒

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先日のニュースからアルコール依存症への注目が高まっています。

今日はアルコール依存治療の中で起こる再飲酒について書いていこうと思います。

 

断酒治療において、再飲酒は極力避けるべきことですが、同時に治療の中でよくあることでもあり、再飲酒を治療中に現れる前提として考えている方が良い場合もあります。

 

 

精神分析や行動分析の理論をもとにプロチャスカ等が提唱した行動変容のステージモデルはアルコール依存症治療にも応用されています。

 行動変容ステージモデル

 

無関心期ではアルコール依存症で仕事が手につかない、人間関係が希薄になっている等の問題が出てきても特にお酒を辞めようとは思っていません。関心期ではお酒の問題の重大性に気づき始め、徐々にお酒を辞めようか考え始めています。準備期はお酒を辞めなければという思いがさらに強くなっていきます。実行期は実際に断酒を実行し、取り組み始めた時期です。その後断酒が比較的安定してきている維持期ということになります。

 

そこに、アルコール依存症ではお酒を飲まない生活に慣れてくる確立期、お酒を再び飲んでしまった再発期という考えがプラスされます。

 

再発期から抜け出すことができればまた熟考期そして準備期になっていきます。一見、一度飲酒をしてしまって再発期に陥るとそれまでの我慢がすべて無駄になってしまったように思われます。

 

しかし、同じことの繰り返しではありません。再飲酒は確かに身体的、社会的にも危険な状態で避けるべきものですが、いくつかメリットもあります。

 

一つはアルコール依存症であるという自覚が高まるチャンスであるということです。。

アルコール依存症の治療をしている人でも、自覚症状があまりないという人は少なくありません。

 

「家族に言われてやってきたけど、断酒するほどひどくはないだろう…」「しばらく断酒して安心させて、ほとぼりが冷めたらまた飲むか」などと考えています。

 

それが再飲酒を繰り返していったり、その中で問題行動を起こしてしまう中で「もしかしたら本当にアルコール依存症なのかもしれない」という意識が芽生えてくるようになります。

 

2つ目のメリットとして飲酒欲求への対処法を知ることができるということです。

 

アメリカ発の断酒ミーティングAAに伝わる格言として「HALTに気をつけよ」というものがあります。

HALTとはhungry(空腹)、angry(怒り)、lonely(孤独)、tired(疲れ)のことで、これは飲酒欲求になりやすいもののことです。

このほかにも飲酒の引き金になりやすいものとして、精神的なものだと不安、焦り、退屈、安心、達成感などを感じたとき、身体的なものだと頭痛がするときや風邪をひいたとき、その他の要因としてお酒のCM、好きだったおつまみ、飲み仲間と会ったとき給料日などがあります。

 

こうして挙げてみるとわかりますが、きりがないですよね。

この中でこれは気にならないけど、これは我慢できないというのは個人差があると思います。

 

断酒をしていて自分自身が気になった要因には注意しておくのがいいですが、飲酒をしてしまったときはそれがどういう引き金によるものか振り返ってみるといいと思います。

 

断酒治療中の飲酒は本人も親しい人にも大きなショックになりますが、それでもあきらめずポジティブに捉えていくことが、症状改善につながる近道になると思います。

 

 

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