アルコール依存の概要、診断、治療について!

今日の話はアルコール依存

 

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どうしてアルコール依存になるのか

 

アルコール依存に陥るケースとしてはお酒を飲み始めた直後から順調(?)にアルコール依存症に陥っていく人というのは少ないです。

 

多いケースが二十歳などからお酒を飲み始め、それからしばらくは飲み会などイベントで飲むことはあっても家で一人で飲むことはあまりない、という時期が続きますが、いつからか習慣的に大量にお酒を飲むようになっていきます。

 

そのような習慣的な飲酒になっていく要因としては、会社の付き合いで毎日飲み会をしたり、ストレス解消のための晩酌、睡眠薬代わりなどまあ様々です。これらの要因の裏側には、たくさん酒を飲めた方がかっこいい、ある程度のお酒なら体にいい、といったお酒に対する誤った認識があったりします。

 

その後、飲み続けていると耐性がついてきます。ずっと酒を飲んでいると酒に強くなるという人がいますがこれは耐性がついてくるためです。

いいことのように感じるかもしれませんが、以前飲んでいた量では酔えなくなってくるのでさらに飲酒量が増えていきます。するとさらに耐性がついていって・・・

 

そして過度の飲酒を繰り返していくと、体がアルコールなしではいられなくなり、酒を飲まなくなると離脱症状が現れます。離脱症状は手の震えや心拍数の増加など様々です。

 

また精神的な依存の症状としては飲酒への渇望がでてきます。そして飲まないとどうも居心地が悪く、ちょっと飲んでも飲み足りない気がしてくるのです。

 

このほかにもアルコール依存の患者に見られがちな特徴として、自分がアルコールに依存しているという認識がなく病気であるということを認められなかったり(否認)、酒を飲むと記憶を失うまで飲み続けることが多い等があります。

 

そんなアルコール依存になった人が精神科やカウンセリングにくる頃には、我慢の限界に達した家族が首をつかんで来たり、記憶を失ったときにとんでもない大失態をしてようやく自分でもなんとかしなくちゃと思ってくる場合が多いそうです。

 

 

アルコール依存の診断

そもそも、適度な飲酒とは具体的にどの程度までを言うのでしょうか?

 

男性では純アルコール量20gが適度な飲酒とされています。さらに40gは生活習慣病にリスクを高める飲酒、60gを超えると多量飲酒とされています。

 

純アルコール量20gを具体的なお酒の量に当てはめると…

ビール 500ml

ワイン ボトルの4分の1

チューハイ(7%) 350ml

ウイスキー ダブル1杯

日本酒 1合

焼酎(25%) 100ml

 

となります。40gだとこれの2倍、60gだと3倍ということです。

 

では、アルコール依存の診断はどうでしょうか。WHOによる『ICD-11』では、アルコール使用のコントロール障害、アルコール中心の生活、耐性や離脱などの生理学的特性のうち2つ以上が過去12ヶ月の中で同時期に繰り返された、もしくは1ヶ月以上続いたらアルコール依存と診断されます。

 

 

アルコール依存の治療

専門家の支援なしに、アルコール依存症の治療を行っていくのは困難です。近くのカウンセリングや外来に行くことがおすすめです。

 

治療としては、主に薬物療法心理療法の他にも同じアルコール依存症の患者で構成された断酒会への参加などがあります。

 

また、治療の方針として、お酒を一切飲まない断酒と、お酒を飲む量を減らす減酒があります。

 

ひと昔前は断酒をして一切お酒を飲まないという断酒治療が主でそのイメージが強い人も多いのではないでしょうか?確かにほどほどに飲むことができなかったのでアルコール依存症になってしまったことを考えると、断酒の方がより確実だと思います。

 

いきなり断酒を勧められて「いや~もうこれから一生お酒が飲めなくなるのはちょっと…」という患者さんでも、では減酒ならどうですかと聞くと「それならできそうですね」と治療に前向きになる方もいます。治療へのハードルが低いのが減酒の大きなメリットですね。

 

 

 

 

アルコール依存と診断され治療を受けているのは4~6万人いるそうですが、実際に依存症に陥っている人は100万人にものぼるそうです。

誰でもなりうる可能性があるからこそ、気をつけていきたいですね。

 

 

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特に外来の治療について詳しい記述がされています。