誰でもできるお年寄りへの心理支援
今週のお題「おじいちゃん・おばあちゃん」
今週のお題が「おじいちゃん・おばあちゃん」ということで、今日はお年寄りの心のケアについて書いていこうと思います。
ある程度年齢を重ねると精神的にも安定してきて変化が少ないように思われるかも知れませんが、そうとも言い切れません。
先日別の記事で紹介したエリクソンの発達課題によると老年期(60歳から65歳くらい以上)の課題は自分の人生を肯定的に捉えることができるかということです。
簡単に言ってしまえば、「いい人生だったなあ」と思えるかどうかということです。
では具体的にどのようなことが、人生を肯定的に捉える要因になるのでしょうか?
いろんな方法がありますが、手軽な方法として昔の思い出を話すことが効果的だったりします。
お年寄りの昔の話というのは同じ話を繰り返したり、興味のない話を聞かされたりして、あまり良い印象を持っている人は多くないかもしれませんが、実はこのように昔の話をするのは、心理的に良い効果がいくつも見られています。
例えば、健常な高齢者においては、より健全な精神の発達や抑うつの軽減、自尊感情の回復、人生満足度の上昇などの効果があるとされています。
また認知症を持っている高齢者に対しても意欲の回復、対人交流の増加、情動の安定などの効果があるそうです。
このように過去の記憶について語ることで認知機能の改善や心の安定をはかる心理療法を回想法と言います。
回想法は1960年代にアメリカの精神科医バトラーによって提唱され、その後いくつかの方法が考案されました。例えば個別に話を聞いたりする個別回想法や思い出を語り合ったりするグループ回想法があります。
この回想法は専門家が行うのとまったく同じようにするのは難しいですが、いくつかのポイントを守って行えば、知識のない家族が行っても一定の効果があると思われます。
気をつけるべきポイントとしては
・無理やり昔の話を聞こうとしない
・否定しない
・聞いた話を他言しない
など相手を傷つけたり、馬鹿にするようなことをしないようにすることが大切です。
最近はウイルス騒動もあって直接会いにいく機会が減っている人も多いと思います。
特に高齢の方は買い物に行くのも不安で、人付き合いも減っているという方が多いそうです。
人と会わないと自然と精神的な疲弊もたまっていきます。
たまにでも電話をしたり会いに行ったりして話を聞いてあげると、良いリフレッシュになるのではないでしょうか。
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