主題統覚検査(TAT)
TATは絵を見せて、その絵から物語を空想して作ってもらうという心理検査です。精神力動論に基づいた投影法の検査として知られています。初めはモーガンとマレーという2人の学者によって考案された「空想研究の一方法」という検査が、改訂されることで現在の形になりました。
、また。後にベラックという人がTATの児童版であるCATを開発しました。
CATの特徴として、人ではなく動物が登場するということが挙げられます。
TATにおいて提示される絵はどのような場面なのかというのがあいまいであり、人によっていろいろな受け取り方が可能です。絵をどのように受け止め物語を作っていくのか、ということにその人のパーソナリティが現れます。
ロールシャッハテストやバウムテストと比べると、用いられることは少ない心理検査ですが、その独特な方法から根強いファンのいる検査です。
方法
図版は29枚の絵と1枚の白紙図版から構成されています。
マレーの原案では20枚の絵を見せていたそうですが、現在では10枚程度であることが多いです。
被検査者への教示の中では、ただ絵について空想したことを話してもらうだけでなく、「この絵の前にどういうことがあったのか、今はどういう場面か、こうれからどうなるのか」を話してもらうよう伝え、過去、現在、未来を含む物語を作ってもらうよう促します。
分析方法
マレーの考案した欲求―圧力分析を用いた分析が主流です。この分析方法は
物語の中の主人公はその人自身が同一視している対象を考え、主人公の示している欲求や環境から感じている圧力を見ていくという分析方法です。
欲求のカテゴリー…対人関係、社会的発達、官能的快楽、自立・抵抗、防衛的逃避など
抑圧のカテゴリー…社会的対人関係、外的環境、内的環境
この分析方法の問題点として、物語の主人公を決定するのが難しいことがあるということが挙げられます。また、マレーのもともとの図版は現在ではかなり改変がされており、結果を比較しづらいということも相まって、分析方法が十分に確立されているわけではありません。
先ほど、TATが他の投影法検査に比べあまり普及していないと述べましたが、その理由の一つとしてこのように分析方法が確立されていないことが挙げられます。
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