文章完成法(Sentence Completion Test:SCT)は未完成の文章や短文などを刺激語として提示し、被検査者にそこから思いつくことや感じたことを自由に記述してもらい、文章を完成させていく心理検査です。投影法の一種とされています。
SCTの特徴
ほかの投影法と比較したSCTの特徴として、比較的浅い水準を対象としていることが特徴として挙げられます。
ロールシャッハやTATなどと比べ、書きかけの文章から文章を完成させる分刺激が具体的であり、被検査者にとって設問の意図を理解しやすく、自身の回答を統制することが可能です。そのため現実検討能力を発揮し、知性化能力も機能しやすいとされます。
SCTでわかること
細かくはSCTの種類に応じてわかることが異なりますが、おもにパーソナリティ(性格)の全体像や個々の側面、適性、問題点などを把握するために用いられます。
SCTにおいてはトータル・パーソナリティは環境、身体、能力、性格、志向の5つの側面から把握されるといわれています。
SCTの歴史
SCTはもともとは言語連想検査から派生してきたとされています。開発したのはH.エビングハウスと言われています。
第2次世界大戦のころから軍隊の適性や心理治療の効果を測定するために多く用いられており、戦後に民間に公開されていきました。
現在では病院や矯正施設などで用いられています。
SCTの種類
精研式文章完成法テスト
おそらく現在の日本で最も一般的なSCTです。
パーソナリティ全体を把握するために開発されました。
小学生用、中学生用、成人用の3種類があります。
この検査では、パーソナリティに関して、
- 知的側面
- 情意的側面
- 指向的側面
- 力動的側面
の4側面とそれらを規定する
- 身体的要因
- 家庭的要因
- 社会的要因
の3要因を評定します。
法務省式文章完成法
様々な矯正施設で用いられていたSCTが多岐にわたり統一性がなかったことに対し、開発されたSCTです。精研式SCTが参考になっています。
13~15歳の少年用、16~19歳の青年用、20歳以上の成人用があります。
それぞれ第1形式と第2形式があり、第1形式はより外面的なものを、第2形式はより内面的なものを捉えるようになっています。
刺激語は、
- 家族・家庭
- 交友関係
- 身体
- 職場
- 一般対人関係
- 学校
- 感情、情動
- 日常生活態度
- 事故、意欲、目標、態度
- 物事、事象
の10個の領域に関するものから構成されています。
構成的文章完成法
反応語を標準化して、数量的な分析を行うSCTです。
検査の自由度をあえて限定することで、反応解釈の客観性を高めています。
刺激文が比較的長くなっていることや、項目数が36とやや少なめであることが特徴です。
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