以前心理検査について様々なものを紹介しました。今日はその中でも投影法について説明していきます。
本当は知能検査などから紹介していこうかとも思ったのですが、投影法にはユニークなものが多いので、こちらから先にいきたいと思います。
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投影法について軽く復習すると、絵を見せたり文章を書いてもらうなどしてその反応やできた文章を見て、その人のパーソナリティを測定する検査法です。
メリットとしては被検者には評価の仕方がわかりづらいため、検査の結果を操作されづらい、体系的で、無意識レベルの心理も測定できる、等が挙げられます。逆にデメリットとしては結果の解釈が難しく専門家同士でも解釈が異なる場合があったり、科学的な裏付けを確認するのが困難などがあげられます。
では一つずつ見ていきましょう。
ロールシャッハテスト
この心理検査は左右対称のインクのしみを10枚見せて、何に見せるか、どうしてそう見えるのか聞くという検査です。ロールシャッハによって開発され、この名前になりました。
被験者のもともとの性格や思考の仕方、感情、自己認知などを捉えるために行われます。
いかにも心理検査と思われるためか、多くのドラマや漫画のワンシーンで使われているのを目にします。ただ、実際の検査をする際に影響が出てしまうため、公共の場面でロールシャッハテストの図版を出すのはあまりよくないそうです。
なんでロールシャッハテストのイラストあるんですかね…いらすとや さん
TAT(主題統覚検査)
この検査はマレー等によって開発されたもので、TATは「Thematic Apperception Test」の略です。場面設定があいまいな絵を見せて、その絵の登場人物の欲求や次の展開を考えてもらうという心理検査です。
被験者の欲求や葛藤を診断する目的で使用されたりします。
P-Fスタディ(絵画欲求不満テスト)
ローゼンツァイクによって考案された日常の欲求不満場面についての吹き出しが一部空白になった漫画のようなイラストを見せ、空白の吹き出しに言葉を入れてもらう性格検査です。
この内容によって、欲求不満場面における反応の仕方などの特徴をとらえようとします。
SCT(文章完成法)
SCTとは「sentence completion test」のことで、未完成の文から連想される内容を補って文を完成させるという検査です。例えば、「私は昔~」といった刺激文があり、そこから連想される続きを書き足します。
人格の様々な側面や決定要因を捉える目的で用いられます。
バウムテスト
絵を描いてもらうことでその人の心理状態を測る描画法の一つで、実のなる木を描いてもらう心理検査です。コッホというスイスの心理学者によって考案されました。
実施が簡単なので様々な場面でロールシャッハテストや質問紙法に付随して用いられるテストです。そのためか、日本での利用頻度はかなり高いです。結果の解釈にはグリュンワルドの空間図式が用いられることが多いです。
※画像はバウムクーヘンです
HTPテスト
HTPは「house-tree-person」の略で、バックによって考案されました。
家と木と人を書く、描画法の一種で、知能や人格の査定を行います。
それぞれ別々に3枚の画用紙に書いてもらう方法や、まとめて1枚の画用紙に書く方法があります。
HTPテストの解釈は書かれた内容だけでなく、自由連想法などその他の検査の結果とも比較してみていきます。
DAP(人物画テスト)
「Draw-A-Person Test」でパーソナリティを理解するために行われるテストです。
2枚の画用紙を用意し、1枚目に人を一人描いてもらい、2枚目に「反対の性の人」を描いてもらう検査です。これも描画法ですね。
FDT(家族描画法)
人物画法から発展したもので、ただ家族の絵を描く方法、何かしているところを描く方法などがあります。主に児童の知的発達・情緒的発達を評価するために用いられます。
風景構成法
もともと統合失調症の患者さんへの治療的な目的から行われていた芸術療法の一種でしたが、そこから心理検査にも応用されていきました。特徴として枠をとって描く範囲を決めること、川や山などの提示順序が決まっていることが挙げられます。
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