ビネー式知能検査とは?

 

 

特徴

ビネー式知能検査は知能検査の一種で、子どもの知能の発達を包括的に測定するものです。

ビネー式知能検査では、知能を様々な側面でとらえる、というよりは一つのまとまりとして見ていきます。つまり、「暗記力は40、計算力は70、読解力は・・・」というように別々の能力をそれぞれ数値化するわけではなく、その結果は知能指数(IQ)でのみ表されます。

 

ビネー式検査は結果をIQとして一目でわかるように示すことを目的としているため、各項目を見て分析するのはあまりおすすめされません。また、一度検査を受けても年齢によって評価が変わってくるため、1,2年前の結果はあまり信頼性がありません。

 

IQの計算方法は

知能指数=(精神年齢÷生活年齢)×100

となっています。生活年齢は実年齢、精神年齢は検査によって測定されます。どちらも1ヶ月単位で測定されます。例えば、8歳9か月なら105カ月となります。

 

歴史

1905年にフランスのビネーが友人のシモンと一緒にビネー・シモン式知能検査を開発したのがはじまりです。これは30項目の質問からなる、世界発の知能検査でした。1908年には質問を54項目に増やして、精神年齢の概念を導入した改訂版が出されました。当初は特別学級に編入する児童の判別に用いられていましたが、精神年齢の導入により知能を測定する検査になっていきました。

 

その後、ビネー式知能検査は世界中に広まっていき、1916年にはターマンがスタンフォード・ビネー式知能検査を開発しました。これは知能指数という概念を取り入れたもので、日本で主に用いられている鈴木式や田中式にも影響を与えています。スタンフォード版はその後何度か改訂版が出され、現在でも用いられています。

 

日本で用いられているのは鈴木ビネー式検査と田中ビネー式検査です。鈴木ビネー式検査は1926年に鈴木治太郎がスタンフォード・ビネー改訂版を参考に開発されました。そして1947年には田中寛一が新スタンフォード改訂版をもとに田中ビネー式を開発しました。

田中ビネー知能検査は何度か改訂版が出され、現在では田中ビネー式知能検査Ⅴが用いられています。鈴木ビネー式知能検査は開発されて以来、長らくそのままでしたが2007年に改訂版が出されています。実際の現場では、田中ビネー式を使用することが多いみたいです。

 

田中ビネー式Ⅴについて

対象は2歳から13歳です。一応14歳以上が対象のものもありますが、そちらは精神年齢の概念を廃止し、結果は偏差知能指数で表されるそうです。

各年齢級ごとの問題が用意されており、1歳から3歳級の問題では各12問で計36問、4歳から13歳級では各年齢級に6問で各60問、成人級は4領域で計13問あります。

 

検査手順としては生活年齢(実年齢)と同じところから問題を開始していきます。年齢級の中で間違えた問題が一問でもある場合は下の年齢級の問題に移って、すべて正解できる年齢級まで行います。このとき、すべての問題に正解できた年齢を基底年齢と言います。その後、上の年齢級に進んで、すべての問題に正解できない年齢級まで答えていきます。

 

問題内容ですが、例えば8歳級の問題では短文の復習、語順の並び替え、数的思考、短文づくり、垂直と水平の推理、共通点といったものがあります。同じ問題でも中身を変えて複数の年齢級で出されることもあります。

 

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