アルコール依存症とうつ
精神病院に通院しているアルコール依存症患者のうち、何らかの精神疾患を併発している人は25%、つまりアルコール依存症患者の4人に1人は他の精神疾患を併発しているそうですが、その中でもうつ病などの感情障害を併発している人は11%いるそうです。
アルコール依存症とうつ病が併発する場合ではそれぞれの治療を平行して行うことになります。ただし、入院する必要が出てきたり、治療の効率が落ちたりすることがあるため、場合によっては最初にどちらかの治療に集中していくこともあります。
アルコール依存症と自殺
うつ病とアルコール依存症が併発することの問題点として、治療の効率が落ちてしまうことだけでなく、自殺のリスクが高まることがあります。
アルコール依存症患者の生涯自殺率は7%と言われています。アルコール依存症単体の場合での自殺はほとんどなく、89%は何らかの精神疾患を併発しており、中でもうつ病は45%~70%を占めています。
アルコール依存症の自殺について、そのリスクが高まる要因になる準備因子と直接的な原因となる誘発因子に関する研究によると、攻撃性、衝動性、依存の重症度、絶望感は自殺のリスクが高まり、対人関係の破綻や大うつ病エピソードは直接的な自殺の原因になりやすいそうです。
具体的には、アルコール依存症で攻撃性が高い人は対人関係でトラブルを起こしやすくなり、友人との不和が自殺につながることがあるそうです。あるいは対人関係のトラブルがうつ病の要因になり、自殺をしてしまうということもあるそうです。
このようにアルコール依存症とうつ病は自殺のリスクにも大きくかかわっています。予防していくことはなかなか難しいですが、アルコール依存症の知り合いがいる人はうつ病の兆候がないかたまに気にしておくのがいいと思います。
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参考資料