ウェクスラー式知能検査とは?

 

 

特徴

ウェクスラー式知能検査はアメリカでウェクスラーという心理学者によって考案された心理検査です。

現在では、知能検査として広く使用されています。発達障害が疑われる人に対して行われることもあり、発達障害かどうかを診断するものと思われがちですが、これだけで発達障害の診断をするわけではなく、知的能力の特徴を捉えることで、どのようなことが苦手なのかを把握するために用いられます。

 

ウェクスラー式知能検査では知能を包括的に表す数値である偏差知能指数(deviation IQ)が算出されます。

式は

偏差知能指数=15(個人の得点ー同年齢集団の平均値)÷照準偏差+100

で計算されます。

ビネー式知能検査でもIQが算出されますが、計算方法が異なるので注意しましょう。

 

種類

WAIS(Wechsler Adult Intelligence Scale)

成人知能検査

現在では日本版WAIS-Ⅳ(対象16歳0か月~90歳11か月)

ただし、日本版WAIS-Ⅳは最近出たばかりなので主に用いられているのはWAIS-Ⅲです

 

WISC(Wechsler Intelligence Scale for children)

児童用知能検査

現在では日本版WISC-Ⅳ(5歳0か月~16歳11か月)

 

WPPSI(Wechsler Preschool and Primary Scale of Intelligence)

就学前幼児知能検査

現在では日本版WPPSI-Ⅲ(対象は2歳6か月~7歳3か月)

 

WMS(Wechsler Memory Scale)

記憶検査

現在ではWMS-R

 

検査内容

検査の種類別に内容を紹介していきたいと思います(WMSは少し内容が異なってくるので別の機会に)。

WAIS-Ⅲ

内容

  1. 絵画完成…絵の中で欠けている部分を答える
  2. 単語…単語の意味を答える
  3. 符号…数字と記号の組み合わせを覚えて、対になった数字や記号を書き込む
  4. 類似…提示された2つの言葉の共通点を答える
  5. 積み木模様…提示された形を積み木で再現する
  6. 算数…読み上げられた算数の問題を暗算する
  7. 行列推理…法則性のある行列が提示され、空欄になっているところをうめる
  8. 数唱…読み上げられた数字をそのまま繰り返したり、逆から繰り返したりする
  9. 知識…一般知識に関する質問に答える
  10. 絵画配列…共通性があったりストーリー性のあるいくつかの絵を提示され、適切なものを選ぶ
  11. 理解…日常的な問題の解決方法や社会的ルールの質問に答える
  12. 記号探し…提示された記号がグループの中にあるか探す
  13. 語音整列…読み上げられた数字やかなを並び替えて答える
  14. 組み合わせ…ピースを組み合わせて指定の形を作る

 

WAIS-Ⅳ

検査時間

内容

  1.  積木模様…提示された形を積み木で再現する
  2.  類似…提示された2つの言葉の共通点を答える
  3. 数唱…読み上げられた数字をそのまま繰り返したり、逆から繰り返したりする
  4. 行列推理…法則性のある行列が提示され、空欄になっているところをうめる
  5. 単語…単語の意味を答える
  6. 算数…読み上げられた算数の問題を暗算する
  7. 記号探し…提示された記号がグループの中にあるか探す
  8. パズル…提示された図形から見本と同じになるものを選ぶ
  9. 知識…一般知識に関する質問に答える
  10. 符号…数字と記号の組み合わせを覚えて、対になった数字や記号を書き込む
  11. 語音整列…読み上げられた数字やかなを並び替えて答える*
  12. バランス…絵の天秤が釣り合うために適切な重りを選ぶ*
  13. 理解…日常的な問題の解決方法や社会的ルールの質問に答える*
  14. 絵の完成…絵の中で欠けている部分を答える*
  15. 絵の抹消…動物の絵を探してマークする*

*マークは補助検査

 

後述のWISC-Ⅳもそうですが、WAIS-Ⅳには言語理解指標、知覚推理指標、ワーキングメモリー指標、処理速度指標の4つの指標があります。

  • 言語理解指標…類似、単語、知識、理解
  • 知覚推理指標…積木模様、行列推理、パズル、バランス、絵の完成
  • ワーキングメモリー指標…数唱、算数、語音整列、絵の抹消
  • 処理速度指標…記号探し、符号

 

WISC-Ⅳ

WISCも検査内容はWAISとかなり同じものも多いです。

内容

  1. 積み木模様…提示された形を積み木で再現する
  2. 数唱…読み上げられた数字をそのまま繰り返したり、逆から繰り返したりする
  3. 符号…数字と記号の組み合わせを覚えて、対になった数字や記号を書き込む
  4. 行列推理…法則性のある行列が提示され、空欄になっているところをうめる
  5. 記号探し…提示された記号がグループの中にあるか探す
  6. 絵の完成…絵の中で欠けている部分を答える*
  7. 絵の抹消…動物の絵を探してマークする*
  8. 類似…提示された2つの言葉の共通点を答える
  9. 絵の概念…いくつかの絵の中から共通の特徴をもったものを選ぶ
  10. 単語…単語の意味を答える
  11. 語音整列…読み上げられた数字やかなを並び替えて答える
  12. 理解…日常的な問題の解決方法や社会的ルールの質問に答える
  13. 知識…一般知識に関する質問に答える*
  14. 語の推理…ヒントをいくつか提示され共通する概念を答える*
  15. 算数…読み上げられた算数の問題を暗算する*

 *マークは補助検査

 

 WIPPS-Ⅲ

内容

対象年齢によってやる内容が異なってきます。

2歳6カ月~3歳11カ月

  • ことばの理解
  • 知識
  • 積木模様
  • 組み合わせ
  • 絵の名前*

4歳0カ月~7歳3カ月

  • 知識
  • 単語
  • 語の推理
  • 積木模様
  • 行列推理
  • 絵の概念
  • 符号
  • 理解*
  • 類似*
  • 絵の完成*
  • 組み合わせ*
  • 記号探し*
  • ことばの理解*
  • 絵の理解*

 *マークは補助、オプション検査

 

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