知能検査は文字通り知能を検査するものです。
有名なビネー式、ウェクスラー式を中心に紹介していきます。
ビネー式知能検査
1905年にフランスのビネーが友人のシモンと一緒にビネー・シモン式知能検査を開発したのがはじまりです。これは世界発の知能検査でした。その後、いくつも改訂版が出され、ターマンが開発したスタンフォード・ビネー版は現在でも用いられています。
日本では田中ビネー式知能検査と鈴木ビネー式知能検査が有名です。
田中ビネー知能検査は何度か改訂版が出され、現在では田中ビネー式知能検査Ⅴが用いられています。鈴木ビネー式知能検査は1956年に開発されて以来、長らくそのままでしたが2007年に改訂版が出されています。
ビネー式知能検査では、知能を様々な側面でとらえる、というよりは一つのまとまりとして見ていきます。どういうことかというと、「暗記力は40、計算力は70、読解力は・・・」というように別々の能力をそれぞれ数値化するわけではなく、その結果は知能指数(IQ)でのみ表されます。
知能指数(IQ)の算出方法は
知能指数=(精神年齢÷生活年齢)×100
で算出されます。精神年齢、生活年齢という言葉はなじみがないと思いますが、精神年齢は検査によって測定され、生活年齢は実年齢+月で計算されます。
ウェクスラー式知能検査
ウェクスラー式知能検査もビネー式と並んで有名な知能検査です。ウェクスラー式も知能のいろんな側面を測定して、それらの集合としてIQという数値で表します。
ビネー式との大きな違いとして、ビネー式ではIQを個人の精神年齢と生活年齢の値をもとに算出しますが、ウェクスラー式は同じ年齢の点数のとのずれ(偏差)で偏差知能指数(DIQ)を算出します。
いわゆる大学の偏差値のようなものですね。大学の偏差値では、50が真ん中ですが、ウェクスラー式では100が真ん中です。ですので、ビネー式ではIQが150や200といったとんでもない値になることがたまにありますがウェクスラー式ではそういったことが起こりにくいです。
計算方法は
偏差知能指数=15(得点―同年齢の平均)÷標準偏差値+100
となります。
対象年齢や年齢によっていくつか種類があり、
WAIS…成人用
WISC…児童用
WIPPSI…就学前の児童用
WMS…記憶検査
の4種類があります(WMSに関しては、厳密には神経心理検査と言えます)。
ITPA
ITPA(Illinois Test of Psycholinguistic Abilities)は学習障害の子どもに対する診断テストとして開発されました。3歳~9歳くらいまでが適正年齢とされています。
様々な能力の側面を測定し、どのような能力が発達しているか、それとも発達が遅れているのかをとらえる目的で用いられます。
K-ABC心理・教育アセスメントバッテリー
1993年にカウフマン夫妻によって開発された心理検査です。
認知処理過程と、教育的な習熟度を別々に測定し、子どもの特徴に合わせて適した教育的支援を行う目的で用いられます。
以上紹介したものは個人に対して行われる個別式知能検査と呼ばれるものです。このほかにも集団に対して行われる集団式知能検査と呼ばれるものもあります。集団式知能検査は田中A-2、TK式田中式知能検査などがあります。
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