神経症という言葉を聞いたことがあるでしょうか?実はこの言葉は今はあまり使われておらず、DSMやICDなどの診断基準でも神経症という項目は現在はありません。
ただ今でも神経症という言葉を使っている文献がないこともないので、その定義について軽く知っておくのも良いと思います。
今回はそんな神経症について簡単にまとめました。
概要
時代によって細かな定義が異なってくるため、少しわかりずらいところがありますが、どの時代でも比較的共通して提唱されている定義としては「心因性の精神的・身体的機能障害」ということが挙げられます。
心因性というのは器質的な要因や遺伝的な要因が見られず、心理的な葛藤や欲求不満状態が原因と考えられる精神疾患のことです。
外因性、内因性、心因性はよく出てくる言葉ですので、
外因性…外部からの影響によるもの(依存物質など)
内因性…個人の素因(発病のしやすさ)などが原因
心因性…葛藤や欲求不満、ストレスが原因
と覚えておきましょう。もちろん例外はありますがこのような認識で良いと思います。特に内因性と外因性はごっちゃになりがちなので、気をつけましょう。
神経症の歴史
神経症という言葉はウィリアム・カレンというスコットランドの医師が1777年に初めて使いました。なぜ神経症(neurosis)という名前かというと、中枢神経系に関わる全ての疾患のことを包括的にこの名前でまとめたからです。つまり、その当時は脳卒中や内分泌障害なども神経症のくくりに入っていました。その後、19世紀後半以降のヒステリー研究を通して、神経症が心因性の心身障害であるというような概念ができてきました。さらにDSM-3以降では神経症というまとまりがなくなり、神経症の中の一つであった不安症や強迫症などはそれぞれ個別の症状として分けられるようになっていきました。
神経症の分類
神経症の分類は時代によってさまざまですが、主なものとして不安神経症、恐怖症、強迫性障害、環境反応、心気症、解離性障害が挙げられます。
不安神経症や恐怖症はDSM-5では不安症群にまとめられています。パニック障害や広場恐怖症などがこれに当たります。
環境反応にはストレス反応障害などが分類され、PTSDなどがあります。
ヒステリーや離人症はDSM-5では解離性障害としてまとめられています。解離性健忘(記憶喪失)や解離性同一性障害(多重人格)など有名な症状も多いです。
これらの詳しい話は以下のリンクからどうぞ。
不安症
まとめ
現在の診断基準では神経症という診断区分はない
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