解離性障害は以前神経症の一種に分類されていました。「解離」という言葉は聞きなじみがないかもしれませんが、これはフランスの精神病理学者のジャネが提唱した概念で、心のまとまりを維持する力が低下し、人格の統合が無くなってしまった状態です。
発症のメカニズムや治療に有効な薬も特定されておらず、わからないことも多いです。
代表的な症状をいくつか紹介していきたいと思います。
解離性健忘
この症状の特徴は記憶の一部を思いだせないことで、心因性の 記憶喪失と言えます。
普通の物忘れと異なり、大事な個人情報(名前や家族など)についての記憶が失われ、一般常識的なことは覚えています(一般常識についての記憶がなくなることもあります)。
過去の経験の中で、ある一定期間の記憶がなくなることが多いですが、これはその時期の記憶と関連する強いストレスや心的外傷が健忘の原因であるためです。
また、この一定期間というのも数分の場合から数十年に及ぶ場合もあり、人によってさまざまです。
解離性同一性障害(解離性同一症)
2つ以上の人格(パーソナリティ)が一人の人間の中に存在する状態です。多重人格といった方がわかりやすいかもしれません。
人格はそれぞれ別々の意思や名前を持っており、全く異なる性格であることも多いです。
他の人格が主導権を握っているときの記憶は覚えていないことが多く、最初は解離性健忘を疑われたりしますが、その人らしくない行動を周りの人が見かけたり、買った記憶のないものが家にあったりするなど、健忘だけでは説明がつかないような事例によって見つかることが多いです。
解離性同一性障害を発症した方に関して特集した動画です。興味がある方はどうぞ。
解離性遁走
解離性遁走では突然今まで日常生活を過ごしていた場所を離れ、どこかに行ってしまい、過去の記憶がほとんど思い出せなくなるといった特徴があります。
この記憶が失われる際に、同時に同一性も変わってしまう場合があります。つまり、性格も変わることがあります。
つまり、ある日突然いなくなった家族が何年後かに別人のような性格で遠くの町で働いていた、みたいなことが起こったりします。
突然失踪したり、記憶を失っている以外は特に精神的な異常が見られないため、病気に思われないことが多いです。
離人感・現実感消失症
自分の体や自分の心が自分のものでないというような感覚(離人感)、自分の周りの出来事が現実ではないような感覚(現実消失感)などのことです。ある程度自覚症状があるのが特徴です。
子どもの頃に身体的・心理的虐待やネグレクトを受けた経験が原因の一つになることも多いそうです。
まとめ
解離性健忘…過去の記憶が一部、あるいは大部分思い出せない
解離性同一性障害…複数の人格が現れる
解離性遁走…ある日突然失踪する
離人感・現実感消失症…自分が自分のものではない感覚、周りのことが現実ではない感覚
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