2020年イグノーベル賞心理学部門 眉毛とナルシスト度合いの関係

f:id:psycholosteak:20201009212651j:image

 毎年、一風変わった研究に対して授与されるイグノーベル賞ですが、今年も面白いものがたくさんありましたね。

日本の研究でも「ヘリウムガスを吸ったワニの鳴き声は高くなる」というすごい発見だけれど何の役に立つのか一見わからないようなものが受賞していました。

 

 

そんなイグノーベル賞の今年の心理学部門の受賞研究は「ナルシストかどうかを眉毛から判別する方法」というものでした。

今回はこの研究の大まかな概要を解説していきたいと思います。

 

論文のリンクはこちら

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/jopy.12396

 

 

 

 

ナルシストという言葉はもはや日常生活でも使われるような言葉ですので説明の必要がないかもしれませんが、簡単に言うと自己愛(ナルシシズム)を持った人、その中でもあまりに自己愛の度合いが強すぎる人に対して使われます。水面に映った自分に恋をしたというギリシア神話のナルシスが由来です。

 

自分を愛するということはいいことですが、ナルシストな人が嫌われる要因として誰かとの仲を深めることよりも、周りから注意を向けられたり評価されることを気にしすぎてしまうことが一つ挙げられます。

 

 

今回の研究ではナルシストとは利己的で自己中心的でうぬぼれの強い人、というような意味の言葉という定義で用いられています。

 

外見からその人がナルシストかどうか判断するための研究はこの研究以前からされていました。

例えば、過去の研究ではナルシストはより精錬された服装(おしゃれで、スタイルがよく、高価な服)を好む傾向が見られたそうです。何となくナルシストという言葉のイメージ通りですね。

 

この研究では大きく3つの実験が行われました。

 

研究1は顔のどのような特徴がナルシストかどうかを判断する指標になっているのかを特定することを目的に行われました。

サンプルとなる人の顔の一部分を隠したり、顔をひっくり返したりしたりすることで、ナルシスト度合いの評価がどのように変わってくるのかを調べました。

その結果、特に眉毛がナルシストの判断に大きな影響を与えているのではないか、ということが示唆されました。(かなり雑に省略しているので、詳しい結果を見たい人はぜひ原文を読んでみてくださいね)

 

 

 実験2では眉毛のどのような特徴が(眉毛が手入れがされているか、特徴的であるか、女性らしさがあるか、など)ナルシスト度合いと関連するのかということを調べました。

結果として、しっかりと整った眉毛、厚い眉毛、濃い眉毛だと、ナルシストの傾向が強いことがわかりました

  

 

3つ目の研究では眉毛を変えることでナルシストかどうかの判断が変わるか調べるため、まずナルシスト度合いが強い人、中程度の人、低い人に分けました。

ここではわかりやすくするために

ナルシスト度合いが高い人→ナルシスト

ナルシスト度合いが中程度の人→中程度の人

ナルシスト度合いが低い人→非ナルシスト

と書きますね。

 

3つの群に分けたあとで、

  1. 中程度の人の顔写真にナルシストと非ナルシストの眉毛を付けるとナルシスト度合いの評価が変わるか調べる実験
  2. ナルシストと非ナルシストの眉毛を入れ替えて評価する実験

が行われました。

 

その結果、1.ではナルシストの眉毛ではナルシスト度合いの評価が増加し、逆に非ナルシストの眉毛ではナルシスト度合いの評価が減少しました。2.ではナルシストでは眉毛を入れ替えるとナルシスト度合いの評価が減少しました。逆に非ナルシストでは眉毛を入れ替えてもナルシスト度合いに大きな影響はなかったそうです。

 

 

以上のことから多くの場合、より眉毛が太かったり濃かったりしてはっきりしている人ほどナルシスト度合いが強いという傾向があることが示されました。

 

 どうして眉毛とナルシストにこのような関連がみられるか、という疑問を持つかもしれませんが、実は眉毛は顔の中でもかなり表現力の豊かな部位だそうです。

確かに怒ったり、驚いた顔をすると眉毛が大きく動きますね。

 

もしかしたら眉毛は私たちの内面を映し出す心の扉なのかもしれません。

これからも眉毛の研究から目が離せませんね!

 

 

心理学のはな

 

ページリンク - 心理学のはな