今回は神経症の一種でもある強迫症について解説していこうと思います。
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概要
強迫症はかつて神経症の一種に分類されており、強迫観念を持ったり強迫行為を続けたりしているために日常生活がままならなくなってしまっている症状のことです。
強迫観念とは、何度も何度も同じ苦痛を感じるような思考や衝動に襲われている状態です。
強迫行為は、不安に対しそれを和らげるために反復行動を繰り返し、それを続けなければいけないと思っている状態です。例えば最近ですと、ウイルスが手についていないか不安になり、何十回も手を洗ったり何時間も洗い続けたりしてしまいます。
何回かやれば不安を解消できるならばいいですが、基本的にいくらやっても不安が解消されることはなく、次第に1日の中で強迫行為にかける時間が増えていき、周りの人も巻き込んでいくこともあります。
一般的には全人口のうち2~3%がなるとされています。結構多いですね。男女で発症する人はそこまで変わらないそうです。
強迫症のエピソードとしてフロイトが担当したねずみ男という症例があります。
ねずみ男は、とある青年が招集された軍隊の上官から、ネズミ刑という肛門にねずみを押し込む刑(一体どんな刑罰なんでしょう…)の話を聞いて以来、愛する父や恋人がこの刑を受けることになったら大変だと思ったことがきっかけで強迫症になった話です。恐怖を振り払うため、浄めやお祓いの動作で手を振ったりし続けて、苦しんでいたそうです。
成因
強迫症は神経症に分類されていたことからもわかるように、かつては心因性の疾患であると考えられてきましたが、近年では遺伝など内因性の病気の影響が強いとされています。
具体的には遺伝による要因や前頭葉、尾状核、帯状回などの脳の部位に異常、セロトニンの調節障害などがあります。
その他、精神分析理論では発達段階の肛門期において形成された几帳面や反抗といった性格が要因になっていると考えられています。また行動分析学の学習理論では、脅迫観念をレスポンデント条件づけによって学習された条件反応、脅迫行為を能動的な回避行動であるとしています。
治療
治療では認知行動療法、特にエクスポージャー法が有効であるとされています。
エクスポージャー法は実際に不安を感じる場面に直面する体験を繰り返していき、不安を軽くしていく方法です。かなり効果のある心理療法ですが、いきなり不安場面に直面するのは無理という人もいるので、そういった場合は系統的脱感作法など比較的やりやすいものから行うこともあります。
薬物療法ではもともとうつ病の治療薬として用いられてきたSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などが用いられています。
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