男性と女性のシリアルキラーの違い

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今日は少し趣向を変えて犯罪心理学の話をしていきたいなと思います。

 

一般にシリアルキラーとは連続殺人の犯人のことですが、有名なシリアルキラーが男性ばかりということもあり、男だけがこのような事件を起こすイメージがあるかもしれません。

 

そのため、研究がされ始めた当初、シリアルキラーは男性でのみ見られるものと思われていました。しかしその後、女性のシリアルキラーもいるということが判明し、さらにその動機の傾向は男性のシリアルキラーとは異なっていることもわかってきました。

 

男性と女性では犯行の動機はどのように異なっているのでしょうか?

 

 目次

 

 

男性のシリアルキラー

快楽型

男性のシリアルキラーで最も多いのが性的快楽を得るための犯行です。男性のシリアルキラーの動機で一番多く、半分近くはこの動機によるものです。

殺人欲求と性的な欲求が密接で、痴漢やサディズムなど特殊な性癖を持っている場合も多いです。

 

有名な事件だとジョン・ウェイン・ゲイシー事件などがあります。

 

 

 支配型

次に多いのが力で被害者を支配することに楽しみを覚える支配型です。

 

これもある意味、快楽型の一つともいえます。

 

テッド・バンディ事件などがこれにあてはまります。

 

 

その他、 統合失調症などの妄想症状を伴う精神疾患が原因である幻覚・妄想型や、社会をよくするために特定の職業や人種の人を殺さなければならないという誤った信念を持つ使命型などが、一定数存在します。

 

 

 

 

 女性のシリアルキラー

一方、女性のシリアルキラーは2つに分けられます。

 

黒い未亡人型

まず、女性のシリアルキラーで一番多いのが金銭的な動機によるものです。快楽型の男性のシリアルキラーと同じく、半分くらいはこの動機による犯行です。

 

これに当てはまるのがいわゆる黒い未亡人型の犯行です。

資産を持った男性と結婚し、その後事故死や自死に見せかけて殺害して遺産を受け取るというタイプの犯行です。資産を持っていない男性でも、生命保険などに加入することで、保険金を得る場合があります。

 

 

 

死の天使型

そしてもう一つの多い動機が死の天使型の犯行です。

これは看護師が患者の薬の量をわざと減らしたり増やしたりすることで、患者の病状を悪化させ、死に追いやるタイプの犯行です。殺害が目的というよりも、悪化させていくうちに誤って死んでしまったといった側面が大きいです。

 

なぜこのような行動をとるのか、動機には諸説ありますが、看護師のという仕事が医師のサポート的な面が強く、自分の努力や認められたり褒められる機会が少なく、学習性無力感のような状態になってしまうことが挙げられます。

 

自分が薬の量を調整すると患者の病状に影響したり、症状が悪化した患者に献身的な看護を行うことで、自分の仕事に再びやりがいを感じるようになっていくのだと考えられます。

 

患者の病態をコントロールすることで有能感を得るというのは、男性の支配型の動機に近いかもしれません。

 

 

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個人的な意見ですが、これら動機の男女差は社会的な要因も大きいと思うので、今後性差が無くなっていくことも予想されます。例えば、死の天使型の犯行は女性ということが理由であるというよりも、看護師という職業が要因である側面が強いです。看護師は女性の割合が大きいため、結果として女性特有の犯行理由になっているので、いずれ男性の看護師が増えていけば男性でも同様のケースが増えるのではないでしょうか。

 

 まとめ

男性では快楽目的、女性では金銭目的の犯行が多い

 

 

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