パーソナリティ障害と発達障害の違いは?

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発達障害とパーソナリティ障害はどちらも日常生活で耳にする言葉ですが、この2つの違いを明確に答えることができる人は結構少ないみたいです。

というわけで、今回はこの2種類の定義や相違点について、簡単にまとめてみました。

 

 目次

 

 

 

 

それぞれの定義

発達障害

まず発達障害ですが、これは比較的低い年齢で現れる脳機能の異常による障害の総称です。

 

おもなものにADHD自閉症スペクトラム障害学習障害などがあります。

 

 

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それぞれの主な症状について軽く説明すると

ADHD・・・落ち着きのなさや衝動性

自閉症スペクトラム障害・・・興味の偏りやコミュニケーション不得意さ

学習障害・・・学習において特定の分野が著しくできない

 

といったような感じですね。

 

 

 

パーソナリティ障害

一方パーソナリティ障害はその人の所属している文化で期待されるものよりも著しく偏った内的体験や行動の持続的様式のことです。

嚙み砕いていうと、周りから浮いた行動をとってしまったりして自分自身が困っていたり、周りの人を困らせてしまう人が当てはまるのかなと思います。

 

パーソナリティ障害は大きく3つの分類があり、さらにその中でも特徴によっていくつかに分けられます。

 

 

クラスターA(他人との関わりが苦手)

ゾイドパーソナリティ障害・・・感情の表現が限定的

統合失調症型パーソナリティ障害・・・人と仲良くなるのが苦手、仲のいい人とも気楽でいられない

懐疑性・妄想性パーソナリティ障害・・・他者に対して不信感や疑い深さを持ち続ける

 

 

クラスターB(気分屋タイプ)

自己愛性パーソナリティ障害・・・賞賛欲求、共感性欠如、

 

反社会性パーソナリティ障害・・・他人の権利を無視するなど、反社会的な行動

 

演技性パーソナリティ障害・・・派手なことをしたり人の注意をひこうとする

 

境界性パーソナリティ障害・・・衝動的で感情や人間関係が不安定

 

 

クラスターC(不安になりがち、内向的)

強迫性パーソナリティ障害・・・完全主義だったり、こだわりが強い、柔軟性に乏しい

 

回避性パーソナリティ障害・・・自己不全感、自分に対する否定的な認知や評価、不安が強い 

 

依存性パーソナリティ障害・・・分離に対する不安、他者への過度な依存

 

何かしらに当てはまるという人も多いと思います。これらは精神疾患というより性格の延長線上といった雰囲気が強いので、少しだけ当てはまっていてもおかしくはないです。これらの特性で自分や周りの人が困っているかどうか、ということが重要です。

 

 

以上、発達障害とパーソナリティ障害についてみてきましたが、この2種類の障害では似ている症状が出ることもあります。

例えば、自閉症スペクトラム障害ではこだわりの強さなどが問題になることがありますが、似た傾向として強迫性パーソナリティ障害では秩序だったものや完全主義への固執が見られることがあります。

 

 

 

発達障害とパーソナリティ障害の違い

ではこの2つの違いは何でしょうか。

以下の項目がわかりやすいと思います。

 

  1. 発達障害は何らかの脳機能の障害が見られるが、パーソナリティ障害には見られない
  2. 発達障害は通常低年齢において発現する、パーソナリティ障害は長い期間の間に起こる個人の性格の傾向である。

 

1が一番わかりやすいポイントかなと思います。発達障害はその原因を中枢神経系の何らかの機能不全と考えられています。例えば、ADHDでは前頭葉の行動抑制機能の障害や一部の神経伝達物質の異常が報告されています。

対してパーソナリティ障害は、脳機能の障害やPTSDなどの外傷が明確な要因というわけではなく、それまでの性格傾向の積み重ねが影響しています。

 

2は例外がないこともないですが、傾向として発達障害は小さい頃から症状が見られています。対して、パーソナリティ障害では子どもの頃は見られなくても、成長して大人になってから見られるようになることもあります。

 

 

以上これら2つがわかりやすい違いです。

逆に目に見える症状だけで判断するのは難しいといえますね。

 

 

 

 

 

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