催眠療法の方法と効果

催眠療法とは

催眠療法はその名前の通り、催眠を用いた心理療法です。

催眠療法はメスメルの動物磁気の研究から発展していきました。

その後、催眠のかかりやすさに個人差があることを催眠療法の問題点として挙げたフロイトが、だれにでも行える心理療法として確立した精神分析療法が発展していったのと反比例して、催眠療法は下火になっていきました。

 

ですが現在でも、催眠療法精神疾患の治療に用いることもあります。

また、実際に恐怖症や緊張場面の治療、痛みの緩和に催眠療法が有効であるという研究結果もあります。

催眠、と聞くと怪しげな印象があるかもしれませんが、アメリカの心理学会でもその有効性が認められている治療法です。

よくある誤解として、催眠術で本来自分がやりたくもないことをやらされるという想像をされている方もいますが、催眠中も判断能力が無くなっているわけではないため、自分がしたくないことを指示されると催眠から覚めてしまいます。

 

 

 

催眠療法のやり方

催眠療法では重要な2つの要素があります。

一つは、催眠を行う人(治療者)と催眠を受ける人(クライエント)の間に信頼関係があることです。

催眠では、クライエントは治療者にまかせっきりの状態になるため、信頼感がなければ催眠状態に入るのは難しくなります。

 

2つ目の重大な要素として、クライエントの被暗示性、つまり催眠による暗示の効果を受けやすいかどうかというのが大きく影響してきます

催眠に入るためには暗示を受けることが必要なのですが、人によってはこの暗示を全く受けないという人もいます。さらにどのような要素が暗示の受けやすさに影響するのか、というのは厳密にはわかっていません(一説には日ごろからよく空想をするという人は暗示にかかりやすいとされています)。

 

催眠療法の流れの一例

後ろに倒れる暗示

治療者が後ろで背中を支えたまま、何度か後ろに倒れる練習をした後、後ろに倒れる暗示をかけていきます。後ろに倒れるというのは治療者との信頼関係がなければできないことなので、この段階で信頼関係を築いていくことができます。

腕が近づく暗示

クライエントに腕を少し前に出してもらい、両手が次第にくっついていくという暗示を与えます。こうして、身体感覚に注意を向けさせていきます。

腕が上がっていく暗示

腕を下した状態から、片方の腕に意識を集中してもらい、腕が課rくなって次第に上にあがっていくという暗示を与えていきます。

気持ちが軽くなっていくというリラックス効果が期待されます。

特定の恐怖症や緊張場面の改善を行う場合には、この段階で行っていきます。

催眠を解く

数を一から数えていき、次第に催眠から覚ましていきます。

 

催眠療法の効果 

なんとなく言葉の響きから怪しげな印象を持たれがちな催眠療法ですが、実際に科学的な信頼性、つまりエビデンスはそこまで高くありません。臨床場面において催眠療法が効果があったという報告はそこまで多くなく、報告があったのは心身症や禁煙、医療処置に対する不安低下など一部です(禁煙に関しては催眠療法がかえって悪化させてしまったという報告もあります)。 

 

ただし、近年では一部の疾患に対する痛みのコントロールに効果があるのではないか、という報告も増えています。 

研究が進めば、その有用性も認められるかもしれません。 

 

催眠療法エビデンスが弱いとされる要因として、認知行動療法などに比べると治療法が確立されておらず、質の低い治療も多くなってしまっているといったことなどがあげられます。 

 

催眠の危険性 

催眠中は影響を受けやすい状況にあるため、普段と同じ治療を行っていても効果が増大しているかもしれないという恐れがあります。 

また、その怪しげな魅力からか、専門家でない人間が興味を持ち実施する、ということも少なくありません。うまくいかずに効果がなかったのならまだよいのですが、例えば余興の一環で行った催眠にかかってしまい、そのまま催眠を解かなかったため後遺症が残ってしまう、という例も報告されています。 

 

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