精神分析はS・フロイトの創始した心理学の代表的な理論の一つ、そしてそれをもとにした心理療法のことです。
一言で精神分析と言っても様々な流派や考え方がありますが、ある程度共通する特徴では
- 本人にも自覚のない無意識という心の過程の存在を前提として、その共感的な理解や言語的な解釈を行っていく。
- 治療において自由連想を行っていく
- 転移を重視する
などが挙げられます。
精神分析療法に対する批判として多いのは、時間やお金がかかるということが挙げられます。伝統的な精神分析ではカウンセリングは週4回程行われることもあったそうです。現在では、回数や時間を減らした精神分析的心理療法も行われます。
フロイトは精神分析を「内部に抑圧されている精神的なものを意識化する仕事」としています。
その特徴は以下の通りです。
局所論…心理的過程は、意識、前意識、無意識に分けられる。
経済論…性的欲求からなるエネルギー(リビドー)の存在を仮定し、不適応や
防衛機制を考えていく。
構造論…心は自我、超自我、イドの3層からなる
力動論…心理的現象は、心の中の力関係によって引き起こされる
適応論…心理的現象を、社会への適応という観点からとらえる
フロイトは患者に寝椅子に座ってもらい、思い浮かんだものを話してもらう形で自由連想法を行っていました。自由連想法では転移や抵抗といった現象を重視していきます。その他、無意識について知るために夢分析も行われました。
その後の精神分析
その後の精神分析は大きく、ユング心理学、対象関係論、自我心理学、新フロイト派に分かれました。
ユング心理学もしくは分析心理学と呼ばれます。
ユング心理学の中でも特徴的なものが集合的無意識という概念です。
ユングは無意識を個人的無意識と集団的無意識の2種類に分けました。集合的無意識とは全人類が共通して持つ、個人の無意識よりもより深いところにある無意識のことです。いくつかの文化で似通った民話が語り継がれていたり、ユングの担当していた精神疾患患者が知るはずもない異文化の神話と類似することを語ったことから、集合的無意識があるのではないか、とユングは考えたそうです。かなりオカルトチックですが、面白い理論ですね。
対象関係論
主にイギリスで普及していきました。
自我と対象の関係に重点を置き、精神現象を理解しようとする立場です。対象とは、幼児期における母親のことを指し、発達とともに対象との関係が変化していくことを理解の基本としています。代表的な人にクライン、ウィニコットなどがいます。
自我心理学
フロイトの娘のアンナ・フロイト、発達課題で有名なエリクソンなどがここに当てはまります。超自我、自我、イドのなかでも特に自我に焦点を当てています。
新フロイト派
アメリカで1930年代から40年代に普及した学派です。文化・対人関係学派、力動的・文化的精神分析学派ともいわれているように、社会や文化などの要因を重視した立場です。ホーナイ、サリバン、フロムなどが代表的です。
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