抗うつ薬でコロナ予防?

 

数日前に、興味深いニュースがありました。

 

なんと九州大学と国立医薬品食品衛生研究所が共同で行った研究で、三環系の抗うつ薬であるクロミプラミン(商品名アナフラニール)が新型コロナウイルスの感染予防に効果があるという結果がでたそうです。

 抗うつ薬がコロナに影響するというのはかなり驚きですね。

 

そもそも、新型コロナウイルスはどのように体に侵入していくのでしょうか?

ヒトの体に侵入した新型コロナウイルスは、細胞表面で受け手の受容体たんぱく質に結合しさらに細胞内に侵入します。そしてRNAの遺伝情報によって増殖し、細胞外へ出て他の細胞に広がっていきます。

 

今回のクロミプラミンを用いた動物実験では、その途中ウイルスが細胞へ侵入するのを防ぐという効果が見られたそうです。

 

 

どうしてこのようなことが起こったのでしょうか?

 

まだ、詳しいメカニズムは発表されていないためあくまで予想ですが、クロミプラミンが免疫機能に関係する神経伝達物質に影響しているためではないかと思われます。

 

抗うつ薬は脳内の神経伝達物質に作用することによってうつ病の症状を改善させていきます。

クロミプラミンはそんな抗うつ薬の中でも、比較的昔に開発されており、従来型の抗うつ薬に分類されます。従来型の特徴として、効果が出やすい代わりにセロトニンノルアドレナリンといったうつ病に関連した神経伝達物質以外にも影響することが挙げられるため、予期せぬ副作用が現れることがあります。

 

詳しくは更なる研究結果を待つ必要がありますが、クロミプラミンが影響する神経伝達物質の中に、免疫機能に関係があるものが存在するのかもしれません。

 

なお、クロミプラミンは本来うつ病の治療に用いるものですので、間違ってもコロナ予防に必要以上に飲んだり、処方されていない人が飲むことはしないようにしましょう。

 

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心理学のはな

 

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