せん妄とは身体物理的要因によって引き起こされる意識混濁や体験、精神、行動の異常が見られる意識障害をいいます。外因性の症状であり、うつ病などの心の病気というよりも脳の機能不全というとらえ方を必要とされてきます。
そんなせん妄の症状と要因についてみていきたいと思います。
せん妄の症状
せん妄の代表的な症状として、失見当識(今の時間や場所の認識ができなくなるなどの状態)、焦燥、幻視、妄想、などが見られます。
また、せん妄の症状は大きく活動過剰型、活動低下型、その2つが合わさった混合型の3つに分類されます。
活動過剰型
幻覚、妄想が特に多い症状です。その他では錯乱したり、怒りっぽくなったり、不眠の症状が見られたりします。ひどいときには興奮して暴れたり、攻撃的な言動を引き起こします。
活動過剰型のせん妄は夜中に暴れたりすることも多く、医療現場では問題になることも少なくありません。
活動低下型
活動過剰型とは反対に、全体的に活動が低下している状態です。
具体的な症状としては注意力や記憶力の低下、無気力、無関心、失禁などが見られます。
このタイプの症状のせん妄は活動過剰型に比べて問題行動は起こしにくいものの、症状が認知されにくい、あるいは認知されてもうつ病などと思われることが多いという問題があります。
せん妄の原因
せん妄は何らかの原因で脳機能が低下することによって引き起こされます。
そしてその要因となる因子は直接因子、準備因子、誘発因子に分けられます。
直接因子
文字通り直接的な原因となる因子です。
脳の障害(脳血管障害)や薬物、依存性物質の離脱症状などが当てはまります。
準備因子
患者さん自身のせん妄を起きやすい要因が当てはまります。
例えば、脳の加齢、免疫や代謝の低下などが当てはまります。
これに関しては予防できるというものでもありませんね。
誘発因子(促進因子)
直接的な原因ではないものの、直接因子の要因となったり、せん妄になりやすくさせる要因です。
心や体のストレス、拘束状態、入院などの環境の変化がこれに当てはまります。
これらのことからも、せん妄は高齢の入院患者に多く見られる症状であることがわかりますね。ある調査では、病院に入院している65歳以上の患者さんのうち、3割から4割の方でせん妄の症状が見られたそうです。
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