最近すっかり冷えてきましたね、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
今日は心理療法の一つ、森田療法について解説していきたいと思います。
森田正馬(1874~1938)は日本で最初に神経症について研究し、森田神経質という概念を提唱し、そして神経症に対する心理療法として森田療法を提唱しました。
神経症以前の記事でもまとめましたが、神経症とは、心因性の精神機能障害のことです。ただし昔は原因が明確にわからず中枢神経系に原因があると思われる障害に対して呼んでいたため、時代によって定義は曖昧です。現在ではパニック症や恐怖症、神経症などが当てはまります。
この森田療法のすごいところは20世紀初頭の日本で生み出された心理療法でありながら、現代でも日本以外の国でも用いられるということです。
森田療法ではまず、基本的な態度として今の不安や症状などの状態を否定せず「あるがまま」を受け入れます。そして気分本位ではなく、目的本位で行動していくことを主張しています。
つまり「不安があるから普通に生活ができない」ではなく、「不安はあるけれどもそれを排除しようとせず、生活していく」といった感じですね。
そして、不安の裏側にある生の欲望をもっと発揮できるように成長を促すことも、特徴の一つです。
「ありのままの今の自分を受け止める」というのはマインドフルネス、「もともと備わっている生の欲望を発揮できるようにする」というのはクライアント中心療法に似ていますね。(専門の人に言わせると厳密には異なるみたいです)
初期の森田療法は基本的に入院治療を行い、4つの時期を通して症状の改善に向かっていきます。具体的には
1.絶対臥褥(ぜったいがじょく)の時期
2.隔離され、日記指導と古典の音読の時期
3.身体を使った作業の時期
4.すべてのこだわりを離れ外界に順応する訓練期
という4つの時期を経て回復に向かっていくというものでした。
1番目の時期は全ての活動を禁止して不安との直面や活動意欲の向上を図ります。
2番目と3番目は内容が重要というより、簡単だったり軽い作業から初めて徐々に負担の大きい作業に移行していくといった流れがあるんだな、と思ってもらえればOKです。
現在の森田療法では
・もともと森田氏宅など治療者の自宅で行われていたのが病院など医療機関での治療に
・入院治療から外来治療への展開
・自助グループの発展
が初期の頃からの大きな変化です。個人的には特に一番最初のもともと自宅で行われていたというのが驚きでした。ですがまあ時代的にはまだそこらへんが整備されていない時代ですし、フロイトも自宅で心理療法を行っていたそうなのでそのころは普通なのかなとも思いますね。
この森田療法は神経症で悩む人だけでなく、だれにでも当てはまる哲学的な教えのような側面もあると思います。例えば気分本位ではなく目的本位というのは「めんどくさいから…」
「やりたくないから…」という理由で先延ばしにせず、今やらなくちゃいけないことを行う、というのに通じると思います。
少しストイックな面もあるので、徹底的にやりすぎると疲れてしまうかもしれませんが、頑張りたいことがある人はこの森田療法のことを思い出してみるといいと思います。
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