今回はピアジェの発達理論について紹介していこうと思います。
これは、人の認知機能の成長についての発達理論です。エリクソンのライフサイクル理論ではでは人がそれぞれの段階で達成すべき課題に注目していましたが、ピアジェの発達理論は知覚や思考といった基本的な認知機能に注目しています。
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感覚運動期(0歳~2歳ごろまで)
はじめのころは生得的な反射で外界に反応していますが、感覚・運動をもとに外界の知識を獲得、簡単な予測的行動が可能になっていきます。
1歳後半ごろになると対象の永続性を理解できるようになります。対象の永続性とは、対象が見えなくなってもその存在が無くなっていないということです。私たちは当たり前のように理解していますが生まれて数か月の乳児だとそれがわかりません。「いないいない…ばあ!」と言って手で顔を隠した後顔を出すと喜ぶのは、対象の永続性が理解できていないため、現れたりいなくなったりすると思っているためです。私たちがマジックショーでハトが出てきたり消えたりするのを面白がるのと同じですね。
前操作期(2歳~7,8歳ごろまで)
言語を使った思考やシンボル機能の発達が見られるようになります。それによって、ごっこ遊びをしたり、まねっこ遊び(腕を広げて飛行機のまね、両手でピースをしてカニのまね)をするようになっていきます。
このように感覚運動期と比べてもかなりいろんなことができるようにもなってきて、いますが、まだできないこともあります。
この時期の発達の課題として、まず自己中心性が強いことが挙げられます。自己中心性が強いと、他者の視点ではどのように見えるかという推察をするのが苦手になります。
また、ものごとを一つの側面でだけしか判断することができません。これを中心性と言います。
そして、保存の概念もこの時期ではまだ理解できていません。
保存の概念とはものの見かけが変わってもその数や重さは変わらないということです。
例えば下の2つの絵はどちらも白丸と黒丸が同じ数ありますが、2枚目の絵では黒丸の方が幅が大きく全体も大きく見えます。こんなふうにすると前操作期の子どもだと黒丸の方が多いと答えてしまいがちなのです。
このように見かけの大きさが変わるとそのものの数や重さや量も変わってくると思い込んでしまうわけです。
余談ですが、数の保存の概念は次の具体的操作期の時期に身についてきますが、実は重さの保存の概念を理解するのはそれよりずっと難しく、大人でも間違えることがあるそうです。
具体的操作期(7,8歳~11,12歳ごろまで)
脱中心化が進み、客観的に物事を考えるようになります。保存の概念も理解できるようになり、具体的なものなら、論理的な思考ができるようになってきています。さっきのような問題にも惑わされなくなるということですね。
ただし、この時期でもまだ抽象的な考察は苦手です。
形式的操作期(12歳~14、15歳ごろまで)
抽象的な推理をしたり、仮説を立てて正しさを推理したりすることができるようになります。
今まではできなかったような目の前にない対象に対して、論理的な考察ができるようになります。「Aという人はbである」という情報と「bである人はみんなcでもある」という情報を聞いただけで「Aはbでありcである」ということを言われなくても推察することができるようになっていきます。
ピアジェの考えはのちに修正される個所もでてきますが、今でも参考にされることがあり、学ぶことも多いです。