交流分析とは?
交流分析とはアメリカの精神科医エリック・バーンによって1954年に開発された治療法のことです。「互いに反応しあっている人々の間で行われている交流を分析する」ということを目的としているため、このような名前で呼ばれています。
交流分析の特徴
- 人間性心理学の一種とされており、「今、ここ」を重視する
- 精神分析の影響を受けていたり、認知行動療法の技能に共通する面があるなど、人間性心理学以外の主要な理論とのつながりなども見られる
- 難解な用語を避けており、また図を使って表しているため専門家でなくともわかりやすい
交流分析の4つの分析
構造分析
心を親(P)、大人(A)、子ども(C)の3つの自我状態に分けて理解していきます。自我状態は、個人の状態や状況によって優勢になるものが変わってきます。
- 親…過去に自分の親をはじめとした外から取り入れた思考や感情の再現
- 大人…現在の状況に対する自主的な思考や感情
- 子ども…過去の自分が体験した思考や感情
その人がP、S、Aのどの状態にいるかを見分けるには、以下の4つの方法があります。
- 行動的診断…言葉や顔の表情など観察できる行動をヒントにする方法
- 社交的診断…コミュニケーション中に見られた反応から検討する方法
- 歴史的診断…過去体験の類似性を検討する方法
- 現象学的診断…かつて体験したことを再体験した際に、それを手がかりとする方法
交流パターン分析
自分と他者とのやり取りにおいて、どの自我状態が働いているのかというのを矢印で表していきます。(例えば、自分が子どもの自我状態で発言し、相手が大人の自我状態でそれを受けるか、というのを表していきます)
交流にはお互いに期待に合っている自我状態同士で交流している相補交流と、反応する側が相手の予想する自我状態とは別の自我状態から交流する交叉交流があります。
さらに、交友の別の分類方法として、メッセージの伝え方がります。言葉ではっきりと伝えられるメッセージは社交レベルのメッセージ、声音や表情などで伝えられるメッセージは心理的レベルのメッセージと呼ばれます。心理的メッセージがある場合は、裏面交流がなされているといいます。
ゲーム分析
「ゲーム」とは、悪循環に陥ってしまった対人関係の進行のことを指します。ゲームのパターンを分析することが交流分析において重要になってきます。
ゲームは双方が嫌な感情を持つことで終了します。
脚本分析
交流分析では、人は子どもの頃に描いた人生の脚本に従ってしまうと考え、その内容を知り、否定的な内容は「今、ここで」書き換えることで新しい人生を歩むことを目標としています。
脚本がもたらす最終的な結果を報酬と呼びます。
バーンによれば脚本は親たちによって強化され、その後の出来事によって正当化され、1つの選択によって絶頂に達するとされています。
ストローク理論
ストロークは「心の栄養」と呼ばれるもので、人間が生きる上で必要不可欠なものとされています。ストロークは人と人が関わる際に交換され、受け取るといい気分になるプラスのストロークと嫌な気分になるマイナスのストロークがあるとされています。
プラスのストロークの例
褒める、慰める、なでる、微笑む、など
マイナスのストロークの例
馬鹿にする、ののしる、殴る、見下すなど
こうしてみると、できるだけマイナスのストロークは受けたくないなと思うのが普通だと思います。ですが、ストロークそのものが足りていない場合は、マイナスであったとしてもストロークを求めてしまいます。
エゴグラム
エゴグラムは交流分析の理論に基づき、親(P)、大人(A)、子ども(C)の自我状態のバランスをグラフに表すことで、パーソナリティを理解しようというものです。
エゴグラムには様々な種類がありますが、日本では東大式エゴグラム(TEG)が有名です。