スクールカウンセラーの有効性と限界

 

 

スクールカウンセラー(以下、SC)について最近ある政治家の方から

 

スクールカウンセラーはたまたま学校に来て頂いている」

 

といった発言があり、にわかに波紋を呼んでいます。

この発言から現状のSCの課題についてどのようなものが見えてくるでしょうか?

現状のSCの課題

①常勤ではなく、週1など少ない時間しか学校にいない

やはりSCが常にいないということについては、SC側も学校側も、そして第3者も改善すべき点として認識しているようです。

SCが週に1日にしかいないと、生徒と親密な関係を気づくことが難しく、また教員との連携という面でもやはり学外の存在として見られてしまい、連携しづらくなってしまうことが問題となってきます。

 

 

実際、常勤のSCは非常勤のSCと比べると、特に生徒との関わりにおいてより密な関わりを作り相談しやすくする(=認知したり対処できる問題が多くなる)ことが予想されます。

常勤的スクールカウンセラーの成果と展望

もちろん、非常勤でも適切な連携や生徒との関わりを行っている方はいますが、やはり時間的な制約が大きいというのも事実としてあるようです。

 

②SCの活動に効果はあるのか、という疑問

SCが役に立っているのか、という疑念を抱く方は少なくないようです。

そして、残念ながらそうした疑念を強めてしまうような報告もあったりします。

「スクールカウンセラー」はほんとうに役に立っているのか?(橘玲) - 個人 - Yahoo!ニュース

しかし一方で、いじめ対応などで、教師からSCの有用性について一定の評価を得ている、という報告もあります。

 

福岡県立大学学術リポジトリ

 

これに関しては一概に役に立つ、立たないと簡単に決めつけられることではないでしょう。

SCの活動の有用性の評価はどのような現場で、どのようなSCが、どのような他職種と、どのような問題に対処したのか、そしてどのような評価が行われたのか、など様々な要因によって変化していきます。

 

だからこそ、上記のような調査を進めていき、SCの有効性と限界点を示していく必要があるとも言えます。

 

 

心理職は今後どうしていくべきなのか

日々、多くのSCの方々が現場において一生懸命活動を進めている中で、上記のような発言が生じてしまったというのは非常に残念である一方、心理の仕事は現場での業務を適切に行えることだけでは十分でないという側面もあると思われます。

 

やはり、SCについての体系的な評価基準を社会全体で共有できるようにするということがまず一つに必要になってくるのではないでしょうか。

 

また、常勤化の推進というのは多くの人が必要と感じているポイントだと思います。

こちらも目下と取り組むべき課題といえるでしょう。

 

 

心理職はただ仕事をしているだけでは有用性を示せる職ではない、というのは教育領域に限らずその他多くの現場においていえることだと思います。

今回のような問題は、心理職が生涯をかけて向き合っていく問題の一つである、ともいえるのではないでしょうか。