ホーソン研究とは

ホーソン研究とは

ホーソン研究は、シカゴ郊外にあったウェスタン・エレクトリック社のホーソン工場で行われた一連の研究のことをいいます。この研究は当初、フレデリック・テイラーの主張した科学的管理法の効果を確認するために行われましたが、結果的に組織における労働者の管理のあり方に大きな変化をもたらしました。

いくつか実験がなされていますが、大きく2つに分けることができます。

 

照明実験とリレー組み立て実験

ハーバード大学のメイヨーははじめ、照明実験と呼ばれる物理的環境が生産性に及ぼす影響について調べる実験を行いました。この実験では、照明の明るさと作業量の関係について調査されましたが、結果は照明が明るくても暗くても作業量にあまり変化は見られないというものでした。

次のリレー組み立て実験では、工場の作業室に5人の女性労働者たちを集め、休憩時間が長い条件、休憩が多い条件、賃金が高い条件などと様々な条件で生産量の違いを測定しました。

おそらく多くの方はよりよい条件(適度に休憩できて、賃金が高い)の方が生産性が高いと予測すると思います。しかし実際には、条件を変えても生産性が変わることはほとんどなかったのです。

 

なぜこのような結果になったのでしょうか?

これは、労働者たちの心的要因によるものだと指摘されています。この実験の中では労働者の要望を聞いたり、作業中の会話を許可するなど、寛容な対応をしていたそうです。また、同じメンバーで作業を続けることによって、一体感も生まれるようになりました。

このような要因から、たとえ環境が悪くなっても生産量が減らなかったのではないかと言われています。

 

メイヨーはその後も調査を続けていき、連帯感、忠誠心、気分の良さなど情緒的な側面が生産性に重大な影響を与えることを明らかにしました。

 

 

面接実験とバンク配線作業実験

物理的な作業条件が労働者の生産性に及ぼす影響が予想よりも少ないことから、次第に監督者や労働者の精神的な側面に注目が向くようになりました。そのため次の実験では、2万人を超える従業員に対し、面接を行うことになりました。

 

その結果、物理的条件だけでなく、人間関係や組織内の出来事、職位、技術の進歩など様々な社会的要素が複雑に絡みあっていることが指摘されました。

 

また、次に行われたバンク配線作業実験では異なる仕事を行う労働者たちを集めて、電話交換機の端子の配線作業を行わせました。

その結果、労働者の能力はそこまで生産性に影響せず、監督者との人間関係の方が大きな影響を与えることが示されました。

 

研究の意義

それまでは労働者の物理的条件を重んじるテイラーの科学的管理法が主流でしたが、ホーソン研究でより心理的な要素、人間らしい環境づくりの重要性が注目されるようになりました。このような視点は人間関係論ともいわれ、のちの研究に大きな影響を与えています。

 

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