特性論の歴史 <心理学解説>

 

 

パーソナリティを特性の強弱で表現する特性論。類型論と並んでパーソナリティ心理学で重要な概念です。その歴史をざっくり紹介します。

 

オルポート

オルポートはオドバートという研究者と一緒に、特定の人を特徴づけるような言葉を調べる研究を行いました。具体的には辞書に載っている40万もの単語を一単語ずつチェックしたのです。

気の遠くなるような調査の結果、18000語の単語を選び出し、さらにそのうちの4504語が人の一貫した適応スタイルを表現している特性語であるとしました。

またオルポートは特性を、その人固有の特徴である個別特性とある文化圏の中で共通してみられる共通特性の2つに分類しました。パーソナリティ研究において対象になっているのは後者の共通特性です。

 

キャッテル

キャッテルはオルポートの研究を参考に、因子分析を用いてより潜在的な因子を見つけようとしました。

彼は、オルポートが選んだ4504語を因子分析し、20数個の特性を抽出しました。

そして、それら20数個の特性は外的な特徴からはわかりづらいものの個人の行動に影響する根源的な特性であるとして根源特性と名づけられました。(逆に、外部からでもわかりやすい表面的な特性は表面特性と呼ばれます)

 

そしてパーソナリティの根源特性の16尺度としました。そのうち第1因子はクレッチマーの分裂気質に、第2因子は知能の高低に相当する尺度になっているなど、類型論とも要素を共有する側面が見られます。なお、キャッテルはこの16個の特性を測定する16PF人格検査という尺度も開発しています。

 

アイゼンク

アイゼンクは因子分析法を用いながら、いくつかの特性を統合しました。

アイゼンクは最初、向性(外向-内向)と神経症(情緒安定-不安定)の2因子を想定しましたが、のちに精神病性双極性障害-統合失調症)も追加し、3因子を想定しました。これらは類型水準と呼ばれます。

また、彼の理論の特徴として、これら類型水準の下にも、特性水準、習慣反応水準、特定反応水準といういくつかの水準があるとする階層説を主張しました。

 

ビッグ・ファイブ理論

ゴールドバーグという研究者は、過去の研究を参考にパーソナリティの特性が5つほどの大きな特徴に集約できるのではないか、と考え、それらをビッグ・ファイブと呼びました。そして、5つの大因子の下にいくつかの下位次元があるとするビッグ・ファイブ理論を提唱しました。

ビッグ・ファイブ理論はその後も研究が進み、どのような因子が採用されるかは研究者によって異なります。現在はコスタとマックレイが提唱した、神経症傾向、外向性、開放性、調和性、誠実性という5因子で構成されている理論が一般的です。

 

神経症傾向:鈍感⇔敏感

外向性:内向⇔外向

開放性:堅実⇔好奇

調和性:孤立⇔協調

誠実性:怠惰⇔勤勉

 

これらの因子を測定する検査として、NEO-PI-Rという性格検査も開発されています。

 

 

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