リーダーシップとは
社長、課長、ボス、首長など、集団には必ずリーダーがいます。たとえ今できたばかりの集団でもその中で音頭をとって集団を引っ張っていこうとする人が出てきます。
リーダーシップというと集団でリーダーという地位についているメンバーだけが発揮するものだと思われがちですが、そんなことはありません。たとえリーダーでなくても、他のメンバーを鼓舞したり、励ましたりするのはリーダーシップと言えます。また、リーダーシップを発揮するのは必ずしも一人ではなく、複数の人がリーダーの役割を行うこともあります。
リーダーシップに関する理論
PM理論
リーダーシップをとらえる理論としてPM理論があります。PM理論はリーダーの行動をP機能(課題志向的行動)とM機能(人間関係志向的行動)の2つの側面から測定しようというものです。
P機能は目標の達成を促進するものです。集団としての目標を第一にして、メンバーに積極的に課題を取り組ませたり、ときには厳しく仕事をするよういう場合もあります。
M機能は集団の維持やメンバー間の仲を重視し、メンバーを公平に扱ったり、対等な立場でコミュニケーションをとっていきます。
PM理論ではP機能もM機能も高いタイプ(PM型)、P機能のみ高いタイプ(P型)、M機能のみ高いタイプ(M型)、どちらも低いタイプ(pm型)の4種類に分けられます。
PM理論に関する研究はいくつもされており、それぞれのタイプが集団に与える影響についてもある程度一致した見方が得られています。
具体的には
メンバーの意欲や満足度では
PM>M>P>pm
短期的な集団の生産性では
PM>P>M>pm
長期的な集団の生産性では
PM>M>P>pm
となります。
ちなみにアップルの創業者であるスティーブ・ジョブズは会社の利益や製品の品質向上のためにかなり強く社員を叱責することがあったそうです。まさしく典型的なP型と言えます。
暗黙のリーダーシップ理論
リーダーシップに関する理論の中には、リーダーとなる人の特性について論じたものだけでなく、メンバーがリーダーに対していだく印象に関するものもあります。
例えば、自分の所属しているグループが優れた成績を出せると、そのグループのリーダーは優れていると何となく思いこんでしまいます。また、逆にグループの成績が低迷している場合には、リーダーの能力不足が原因であると考えられがちです。このような傾向を暗黙のリーダーシップ理論と言います。
組織変革のリーダーシップ
近年、組織の硬直化を防ぐために組織変革の重要性に注目されるようになってきました。それに伴い、従来の交流型リーダーシップと異なる、組織を変革するための変革型リーダーシップに関する研究も出てくるようになりました。
変革型リーダーシップには、以下の4つの要素があるとされています。
- 理想的影響…メンバーに尊敬されるようなリーダー自体の能力やチームへの貢献度があるかどうかという点です。つまり「自分もあんな人になりたいな」と思ってもらえるようなリーダーかどうかということです。
- モチベーションの鼓舞…メンバーのモチベーションを高める要素です。具体的にはメンバーの行っている仕事の意義や将来的なビジョンを共有したりすることが挙げられます。
- 知的刺激…メンバーの視野を広げたり、考え方を転換させたりする要素です。
- 個別的配慮…個々のメンバーの状況を把握していたり、適切なサポートやアドバイスができるという要素です。