ホスピタリズムとは?

 

ホスピタリズム施設病とも呼ばれ、子どもが病院などの施設に入っていることで、発達が阻害されたり健康に悪影響が出ることをいいます。

 

ホスピタリズムの概念が出てきたのは20世紀初頭です。当時施設に入所している児童や幼児が一般家庭で暮らしている子どもに比べて死亡率が高いことが問題になりました。原因は栄養失調や病気の感染であるとされ、実際その対策をすると死亡率は下がっていきました。しかし今度は、施設で育った児童の発達障害人格障害の有病率が指摘されるようになりました。

 

その後、研究が進み施設で育った子供では、発達の遅れ、神経症的傾向の増加、対人関係の問題、攻撃性の増加、逃避性の増加などが見られることが明らかになりました。わかりやすい特徴を挙げると、身体的・精神的に発達の遅れが見られる、指しゃぶりやおねしょ、夜泣き癖が治らない、他者とのコミュニケーションが苦手である、などがあります。

 

どうしてこのような現象が起こるのでしょうか?

精神分析学者のスピッツホスピタリズムに関する研究を行いました。

スピッツは子ども10人に対し母親の代わりとなる世話役が1人の施設と、子ども2人に対し世話役が1人の施設で子どもの発達について比較を行いました。すると前者の施設では死亡率が高く、また発達の遅れが見られたのに対し、後者の施設では一般の家庭と同じように育っていったそうです。

 

このことから、ホスピタリズムは母親もしくは母親の代わりとなるような存在の不在が原因であることが述べられています。そして、一般の家庭でも親がネグレクト(育児放棄)をしていると同じような状態になるとされています。

 

現在ではこのように養育者とのコミュニケーションが極端に少ない状況はマターナル・デプリベーションと呼ばれています。

 

 

関連記事

psycholosteak.hatenablog.jp

 

 

心理学のはな

 

ページリンク - 心理学のはな