モラトリアムとは?

 

モラトリアムとは

モラトリアムという言葉は一度は聞いたことがあると思います。

実はモラトリアムはもともと経済学の用語です。災害や大恐慌などの非常事態において、借金の返済を猶予することをモラトリアムと言います。

 

このモラトリアムという言葉を心理学で使ったのは、発達課題で有名なエリクソンです。エリクソンの発達課題では、人の人生を児童期、青年期などいくつかの時期に分け、それぞれの時期で達成すべき課題があることを主張しました。

青年期になり、身体的には大人と同じ能力をもっていても、心理的・社会的にはまだ未熟な人間が、成長していくための準備として、しばらく社会的な義務や責任を猶予される期間、これをモラトリアムと呼びます。モラトリアムの間には、雑事などに煩わされることなく、様々なことを経験したり、自信の能力を研鑽していくことで、青年期の課題であるアイデンティティの統一を目指します。

 

今の日本ではモラトリアムの時期=大学生というイメージが強いかと思います。

本来は自己探求や将来のための時間ですが、現実では何となく4年間の大学生活をおくっているという人も多いのではないでしょうか?

 

実際、モラトリアム期にあたる大学生活がただ遊んでいるだけの時期になっているのではないかという指摘もあります。従来のモラトリアムのことを古典的モラトリアムと呼ぶのと対象に、こうして自己探求を先延ばしにしたりするモラトリアムを消費社会型モラトリアムと呼ばれていたりします。

 

 

モラトリアムの分類

髙坂では大学生活の中で何に重点を置いているかで、モラトリアムを4つに分類しました。

1つ目は勉強や資格取得に重きを置いているタイプです。このタイプは自己探求や職業選択なども積極的移行い、モラトリアムを本来の意味で使っている人たちだといえます。

2つ目は特に重点を置いて取り組んでいるものはないタイプで、職業選択に関しても消極的であることが多いです。

3つ目は大学生活の中のすべての活動に対して重点を置くことができるタイプで、何にでも興味を示すことができます。一見いいことのようにも思えますが、周りに後れをとってしまうのではないか、という恐れが動機になっていることも多く、ストレスや抑うつが高くなる傾向があります。ただ、一方で充実感を感じている人います。入学したての1年生は、このタイプになることも多いです。

4つ目は学業以外の活動に重きを置くタイプです。例えば、部活動、サークル、趣味、他者との交流があります。職業選択にも積極的になる場合も多いですが、全能感が高く漠然と大きな夢を抱いていることもあり、現実が見えていない人もいます。

 

 

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