系列位置効果

 

系列位置効果は記憶に関する心理学の有名な理論です。 

系列位置効果には有名な実験があります。無関係の単語15個~30個を見せたり、聞かせたりした後、それを提示された順番に関係なくできるだけ多く紙に書いてもらうと、最初の方に提示された単語と最後の方に提示された単語は答えられやすかったのに対し、真ん中の方で提示された単語は答えられにくかったそうです

最初の方の単語が答えやすいことを初頭効果、最後の方の単語が答えやすいことを親近効果と言い、これらをまとめて系列位置効果と言います。

 

なぜこのようなことが起こるのでしょうか?有力な説として二重記憶モデルがあります。

人間の記憶は保持される時間によって短期記憶長期記憶に分けられます(厳密には短期記憶の前に感覚情報保存の段階があります)。短期記憶は数秒~数十秒程度の短い時間にだけ保持される記憶です。一方何分何時間、あるいは何十年も覚えていられるような記憶は長期記憶と呼ばれます。

系列位置効果の実験では、最初はどの単語も短期記憶として保持され、数秒経つと忘れられてしまいますが、同じ刺激を何度も提示されたり、反復していくうちに長期記憶になっていきます。

系列位置効果の実験をするとわかりますが、最初の方は覚えるべき単語も少ないため、同じ単語をたくさん反復することができます。そのため、長期記憶になりやすいです。しかし単語の数が増えてくると、どうしても反復する余裕がなくなってくるため、短期記憶のままになりやすいです。そのため、真ん中の方で提示されたものは後に提示された単語によって忘れられてしまい、最後の方の単語だけ覚えているようになります。

つまり系列位置効果では、初頭効果は長期記憶になって覚えており、親近効果は短期記憶になって覚えているというわけです。

 

ちなみに、単語を提示した後に簡単な計算問題など別のことをしてもらってから単語を書き出してもらった実験では、初頭効果は見られたものの、親近効果は見られなかったそうです。これは親近効果は短期記憶によるもので、計算をしているうちに忘れてしまったためだと考えられます。

 

 

参考文献

530 自由再生における系列位置と再生順位との関係(500 学習過程)

 

心理学のはな

 

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