人間以外の動物にも条件づけは成立するのでしょうか?
人間以外の動物の条件づけの実験で一番最初に思いつくのはパブロフの実験で有名な犬でしょう。また、スキナーの研究でたびたび出てくるハトやラットを思い浮かべる人もいるかもしれません。
その他、哺乳類ではサル、鳥類ではセキセイインコ、ウズラなどでオペラント条件づけが成立したという記録もあります。
ではそれ以外の脊椎動物ではどうでしょうか?
キンギョのオペラント条件づけという面白そうな論文がありました。
キンギョを用いたパネル押し反応の実験では正の強化が見られたそうです。
また、別の報告ではブラックバスでもオペラント条件づけが成立したそうです。
ただし、魚類は環境に働きかける身体器官が陸上の生物と比べて少なく、そういった生物学的制約についても考慮していかなければいけないそうです。
爬虫類や両生類に関する研究もあります。カメやカエルを用いた
強化学習の実験では、正の強化が起こっていることが確認されています。
では脊椎動物以外ではどうでしょうか?
軟体動物のアメフラシでは、水管という海水の出し入れをするところに水を吹きかけるとエラの収縮反射が起きます。しかし、水管に吹きかけるのを続けていると、次第に慣れが生じてきて、エラが収縮しなくなるそうです。また、逆にアメフラシの尻尾に電気ショックを与えると、尻尾を引っ込めますが、電気ショックを繰り返すと尻尾を引っ込めるという反応が鋭敏化していきます。
このような行動の慣れや鋭敏化といったものがアメフラシには見られます。
一方節足動物のミツバチでは正の強化は見られなかったそうです。また、アリも学習といえるような行動の変容は見られなかったそうです。これらの生物の行動はあらかじめ定まっている刺激と反応のみで説明できる、いわば本能行動のみ見られるそうです。
脊椎動物以外はあまり学習による行動変容をするイメージがなかったので、アメフラシは意外でした。
ただ、いくつか研究を見ていると、人間の行動についての知見を深めるために動物実験を行うといった場合が多く、魚類や無脊椎動物などはそういった意味ではあまり研究は進まないのかもしれません。
関連記事
参考文献