刑事ドラマでよく見る目撃証言ですが、実際の犯罪捜査でも重要になってきます。
そんな目撃証言ですが、ただの素人が見ただけの情報はどれだけ信頼できるものなのでしょうか?
目撃証言の信頼性について心理学の観点から考察されている研究は少なくありません。
目撃証言の信ぴょう性が下がる要素として、以下のようなものが挙げられます。
- 知覚状況が悪い
- 偶然見かけた
- 目撃してから事情聴取されるまで時間が空いた
- 事情聴取の仕方が誘導的であった
特に最後の項目に関しては有名な研究があります。
ロフタスというカリフォルニア大学の心理学者が質問の誘導性に関する実験を行いました。
この実験では、交通事故の様子が描かれているフィルムを見せたあとで「その車が~ときのスピードはどれくらいでしたか?」と聞いたときにどのくらいのスピードを答えるか調べました。○○には「激突した(smashed)」、「接触した(contact)」、「衝突した(collided)」、ドスンとぶつかった(bumped)」、「ぶつかった(hit)」の5種類が入ります。その結果、
激突した←衝突した←ドスンとぶつかった←ぶつかった←接触したというように、より表現が強くなるほどよりスピードが速いと答えたそうです。
さらに、「車のガラスは割れていましたか?」と聞いた結果、実際には割れていないのにも関わらず、「ぶつかった」では14%、「激突した」では32%の人がガラスが割れたと答えたそうです。
つまり、こちらも質問の仕方によって答えが変化しましたというわけです。
このように質問の仕方によって答えが変わってしまう、というのはかなりよくある話です。
また、このような被誘導性は子どもや高齢者に関してはよりその影響を受けやすい、つまり質問の仕方によって答えが変わりやすいという報告もされています。
これらのことから、目撃証言というのはそこまで信ぴょう性が高くないことがうかがえます。刑事ドラマのように偶然一人だけ覚えていた犯人の特徴が事件解決につながるというのは難しそうですね。
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参考資料
https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/44697/1/KTN2003_108-119.pdf