質問紙法は、パーソナリティを全般的に捉えるものだけでなく、特定の精神疾患や症状に対する心理検査もいくつもあります。
様々な精神疾患の診断場面で用いられていますが、ここではうつ病、認知症、不安症状、アルコール依存症の4つに対する質問紙を紹介していきたいと思います。
うつ病に対する質問紙は、主に病気の重さを測定するものが多いです。
また、医師が心理士が患者の症状を理解するためだけでなく、患者自身が現在の状態や回復の経過を理解するのにも用いられます。
主な心理検査
SDSうつ性自己評価尺度
CES-Dうつ病自己評価尺度
ベック抑うつ質問票
認知療法の創始者でもあるベックによって開発された心理検査です。
質問項目は21個、結果の点数によって重症度が診断されます。
その多くは認知症の早期発見を目的としています。ただ、認知症は老年期のうつ病など別の疾患と間違われることも多いので注意が必要です。
主な心理検査
改訂版長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
認知症の心理検査と言えばこれ、という人も多いのではないでしょうか?
質問に答えるだけで簡単なので、問診のなかで口頭で行われることもあります。
30点満点で、20点以下だと認知症の疑いがあるとされます。
CDT
Clock Drawing Testの略称です。時計描画テストとも呼ばれます。指定された時間を指している時計の絵を描いてもらいます。
不安症状
不安症状は精神疾患に大きくかかわるものとして、注目されてきました。そんな不安症状を測るための心理検査も、いくつも開発されてきています。ここでは、メジャーな2つの検査について紹介します。
主な心理検査
MAS(顕在性不安尺度)
心や体に影響を及ぼす慢性的な不安を測定します。質問は65項目あります。
日本版STAI
不安に対する反応の傾向を示した特性不安と、現在の不安の程度を示す状態不安の2水準を測定します。質問項目は40個です。
アルコール依存症の診断にも質問紙が用いられることがあります。代表的なものにCAGEテスト、AUDITなどがあります。
主な心理検査
CAGEテスト
アルコール依存症である可能性が高いかどうかを測定します。断定はできないものの、全4問と非常に簡単なため、だれでもすぐにできるという大きなメリットがあります。
AUDITテスト
世界的に用いられているスクリーニングテストです。全10問でアルコール依存症の重症度を測定します。
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