論理療法は認知療法、さらに認知行動療法に大きな影響を与えています。認知行動療法が一般的になった今、あまりメジャーなものではないかもしれませんが、逆に言えば知っておけばこれら心理療法の理解にも役に立つのかなと思います。
論理療法はエドワード・エリスが提唱した心理療法で論理情動行動療法ともいわれます。
広義には認知療法の一種として分類されることがあります。
論理療法はABC理論という理論を前提にしています(のちにABCDE理論と言ってDとEが追加されたので、後で解説します)。
A…activating event (出来事)
B…belief(信念)
C…consequence(結果)
の頭文字を取っています。
Aの「activating event」は反応の要因となる出来事です。Bの「belief」はAに対する考え方や理解の仕方です。Cの「consequence」はBによって生じた結果(感情や行動など)です。
私たちは何か出来事(A)に直面するとそれによって直接行動や感情といった結果(C)が引き起こされると考えがちですね。実際、過去の行動分析学ではこのように刺激とそれに対する反応にのみ注目していました。
ところが、エリスはこのAとCの間にその人の感じ方や理解の仕方といったプロセス(B)があると考えました。このBには論理的なもの(レイショナルビリーフ)と非論理的なもの(イレイショナルビリーフ)があり、イレイショナルビリーフが不適切な感情や行動の要因になるそうです。論理療法では、このイレイショナルビリーフにカウンセラーが働きかけて論理的なものにするという対処をしていきます。
ちなみにのちにこのABC理論には続きで、DとEがつけたされました。Dは「dispute」Eは「evaluation」です。
Dはイレイショナルビリーフに対する反論の事です。そしてEはその結果です。
イレイショナルビリーフの特徴として、
目的達成を妨げる考え→どうせ自分にはできないから頑張らなくていいや…
事実に即してない考え→自分は世界中から嫌われている
論理的ではない考え→朝寝坊をしてしまう自分は、仕事もできない
断定的な考え→自分は無能だ
などが挙げられます。
また、このようなイラショナルビリーフは
しなければならない、というビリーフ
悲観的なビリーフ
非難、卑下的ビリーフ
欲求不満低耐性ビリーフ
に分けられます。
そして、そのビリーフの対象も
自分自身
自分以外の他者
環境や世界など
の3つがあります。ここら辺はベックの認知療法と非常に似ていますね。