断酒会とAAの違いや歴史

断酒を続けていくうえで大きな支えになるのが断酒ミーティングです。そんな断酒ミーティングにはいくつか種類がありますが、特に有名なのは断酒会とAA(Alcoholics Anonymous)です。断酒ミーティングについて調べた人は、この2つはどんなことが異なっているのかと疑問に思ったかもしれません。

 

 

最初に軽く共通点に触れておくと、どちらも司会によって提示されたテーマ(飲酒の失敗体験など)について一人づつ順番に話していくといった流れで行っていきます。話したくない場合はパスすることも可能です。この時にだれかの話を否定したり遮ったりするのはご法度です。

 

断酒会とAAの違いは大きく以下の4つにまとめられます。

 

 

1.会員制と匿名

断酒会は会員制ですが、AAは「Anonymous(匿名)」とある通り、匿名性です。

 

2.社会との関係

断酒会は社会発信を行っています。それに対し、AAは基本的に社会的な発信は禁止されています。

また、断酒会は医療施設と協力している場合もありますが、AAは独立しています。

 

3.家族の同伴

断酒会は家族同伴OKです。AAは家族の同伴はできません。

 

4.会費

断酒会は 会員費がかかるところが多いです(そんなに高くないです)。AAは基本募金で運営しているそうです。

 

まとめると

断酒会→会員制、社会発信をしている、家族同伴可、会費あり

 

AA→匿名制、社会発信をあまりしていない、家族同伴不可、会費なし

 

ただこれらは明確な決まりがあるというわけではないので、全ての組織がこれに当てはまるわけではありません。

 

 

全体的に断酒会はしっかりした公的な組織、AAはアバウトで私的な組織という印象を受けますね。

 

ただ、参加された方のブログを見ているとどちらもそんなに雰囲気は変わらないみたいです。あまりこだわりすぎず、通いやすかったり、相性の良いミーティングに参加すべきかなと思います。

 

 

 ここからは余談ですが、断酒会とAAは発祥の場所や時は違いますが、誕生の経緯にはやや似通った部分があります。簡単にまとめていきたいと思います。

 

 

 

 

断酒会の歴史

断酒会は松村春繫という方が中心となって日本で結成されました。

 

高知出身の松村は高いリーダーシップを発揮して地元で政治家として活躍していました。しかし酒好きの松村は酒のトラブルが頻発するようになり、政治活動もままならなくなりました。次第にアルコール依存症の症状もひどくなっていきますが、そんな中で松村はアメリカで始まった断酒ミーティング、AAの存在を知ります。そして1958年、アルコール依存症の患者を集めAAを模倣して高知断酒新生会を結成しましたが、アメリカ発祥のAAは日本には合わなかったためか断酒が続く会員は少なかったです。そこで松村はより日本人にあうように会の形を試行錯誤して変えていき、その後高知断酒新生会は東京断酒新生会と合わさって全日本断酒連盟になり、これが現在の断酒会に続いていきます。

 

 

 

AAの歴史

AAは1935年のアメリカで、ビルとボブという2人によって創設されました。もともとビルはエリート証券アナリストでしたが、アルコール依存症に陥り、破産寸前まで追い詰められました。その後断酒治療を始めましたが、飲酒渇望が襲い続け、苦痛の中で出会ったのが優秀な外科医でしたが今はビルと同じようにアルコール依存症になってしまったボブでした。ビルは2人でほかのアルコール依存症の患者をさがして断酒を勧めていこうと提案しました。ボブは最初は乗り気ではありませんでしたが、ビルの話を聞いているうちに興味を持ち、2人は活動を開始します。その後、仲間を集めAAを名乗るようになりました。

 

興味深いのはAAが成立した当時のアメリカは禁酒法(1919~1933)が廃止されたばかりということです。お酒が合法になったばかりの世の中で依存症になったと思われたら...というネガティブなイメージがあったからこそ、AAは匿名の集団になったのかもしれません。

 

この2つの会はどちらも、もともと社会で活躍されてた人がアルコール依存症に陥ったことがきっかけになっていますね。

 

 関連記事

psycholosteak.hatenablog.jp

 

psycholosteak.hatenablog.jp

 

 

アルコール依存症に関するおすすめ書籍