躁うつ病(気分障害)の分類、治療、予防について!

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いまや日本人の3〜7%が経験したことがあると言われる、うつ病

 

今日はそんなうつ病も含めた気分障害について解説していこうかなと思います。

 

 

 

 

気分障害の分類

そもそもうつ病気分障害躁うつ病がごっちゃになっている人も多いのではないのでしょうか?

簡単にこれらの定義について説明していこうと思います。

 

まず気分障害とは躁状態うつ状態が交互に現れる双極性障害と、うつ状態が主な症状である抑うつ症候群の総称です。

 

実は現在、アメリカ精神医学会が出している精神疾患の判断基準になるDSM –5では気分障害のカテゴリーがなくなり、上記の双極性障害抑うつ症候群は別々のものとして扱われるようになりました。

ただ、少し古い本だと気分障害としてまとめられていることも多いので、紹介しました。

 

さて、次に双極性障害抑うつ症候群についてですが、まずは双極性障害からみていきましょう。

 

双極性障害躁状態うつ状態が交互に繰り返される障害の総称ですが、その中でも症状の重さや慢性的かどうかによって双極Ⅰ型障害、双極Ⅱ型障害、気分循環性障害に分けられます。

かなりおおざっぱですが、双極Ⅰ型障害→双極Ⅱ型障害→気分循環性障害の順により長期間、より軽度の症状という認識でいいかなと思います。

 

また抑うつ障害では重いうつ症状が出たり収まったりを繰り返す大うつ病(いわゆるうつ病)とそこまで重いうつ症状では無いけど憂うつな状態が長く続く気分変調症があります。

下に図にしてみました。

 

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よく見ると字が右に寄ってる…すみまそん

 

ところで、これら気分障害の症状ですが、うつ状態というと何となくネガティブなイメージを持っている方も多いと思いますが、その反対の状態である躁状態はどうでしょうか?

 

うつの反対なので元気、やる気に満ち溢れている、などのポジティブなイメージもあるかもしれません。

事実、躁状態になるとやる気が出てきたり、仕事の意欲が湧いてきたりするので病気が治った、と思われる患者さんも多いそうです。

ただ、実際はそれは症状の一部で、しばらくするとまたうつ状態になることが多いです。

また、躁状態自体も、怒りっぽくなったり、正常な判断がしづらくなったりするなど、いいことだけではありません。さらに重症になってくると、誇大妄想や被害妄想、周りの人に暴力を振るうこともあります。

 

 

 

原因

 双極性障害抑うつ障害もストレスが主な要因の一つと考えられています(もちろんそれだけではないですが)。

 

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私たちはストレスを受けると脳の中の副腎というところから副腎皮質ホルモンが出てきます。ホルモンの影響を受けて私たちの体はストレスに対する適応ができます。

 

 通常はこのようなシステムがうまく働きますが、受け止めきれないほど大きなストレスを受けたり、長い間ストレスのかかる環境にさらされると副腎皮質ホルモンの分泌が少なくなってしまいます。

 

その他の要因としては遺伝だったり、脳の他の部分の不調だったりします。

また、ウイルスレベルでもうつ病の研究がされており、最近でもうつ病と関係があるかもしれないウイルスについてのニュースがありました。

以下からニュースの動画見れます。

https://youtu.be/n9gZEC3dnfQ

 

 

 

主な治療法

ここでは代表的な薬物療法認知行動療法、無けいれん通電療法について簡単な説明していきます。

 

薬物療法

その名の通り薬を使う治療法で、おそらく最も一般的な治療法です。

薬の紹介をしているときりがないので代表的な薬を紹介するとSSRIというものがあります。

SSRIとはすごい薬(Sugoi kuSuRI)の略です。

嘘です。日本語では選択的セロトニン再取り込み阻害薬といいます。

セロトニンは先ほど説明した副腎皮質ホルモンの一種で、セロトニンシナプスというニューロンニューロンの間を通る際に、一部のセロトニンは次のニューロンに行かず前のニューロンに戻ります。このことを再取り込みと言います。通常はそれでもいいのですが、抑うつ症状などがある場合はセロトニンの量が減っているのでこの再取り込みを阻害することで次のニューロンにいくセロトニンの量を減らそう!という薬です。

 

また躁状態では気分安定薬として炭酸リチウムが用いられることがあります。物質名でよぶ薬は珍しいので化学みたいですね。

たまに「リチウムって魚とかにも入ってるし魚食いまくれば薬いらないんじゃね?」みたいなことを考える人がいますが、自然にあるものは量が少ないので効果はないです。

 

 

認知行動療法

 心理療法の中でも気分障害に対する認知行動療法の効果はかなり評価されています。

この心理療法は、過度なネガティブイメージや認知の歪みをなくしていったり、行動を変えていこうというものです。例えば仕事で上司に怒られた際に(自分は何をやってもだめだ…)と思って、いつまでもくよくよしてしまい、他の仕事にも手がつかなくなる人がいるとすると、上司に怒られた際に(今指摘されたところを直そう)と考え、次の仕事に反映させていく…というものです。ようするにストレスとなるも(この場合なら上司に怒られること)は自分ではどうしようもないのでその認識の仕方とその後の行動を変えていこう、という感じですね。

 

病気と診断された人でなくても、ちょっとネガティブになりやすい人などは意識してみるといいかもしれません。

 

無けいれん通電療法

 「まさか今時脳に電気を流して精神疾患を治すわけないでしょ笑」って思った人、そのまさかです。

 

この治療法では実際に脳に電気を流し、症状の改善を図ります。

怖いと思うかもしれませんが、実は安全性はかなり高く、また即効性もあるのでかなりすごい治療法です。

 

もちろん、うつ症状が無くなるまでずっとビリビリさせてるわけではなく、これはあくまで症状が重い際に、症状をすぐに緩和させる必要があると判断された場合に使用されます。

 

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※画像はイメージです

 

 

 

 個人的におすすめの予防策

前述の通り抑うつ障害の主な原因はストレスにあります。

ただストレスに関しては避けようと思ってもなかなか避けられないものなので

「上司に怒られた!ストレスマッハ!うつ病不可避!」

なんて考えるよりも自分の中でこんなストレス解消をしようといろいろ考えておく方が現実的だと思います。「仕事が辛かったら転職を考えた方が良い」という意見もありますが、「仕事辞めるほどじゃないけど、毎日辛いなあ」と思ってる人って多いと思うんですよね。そういうときにストレスのはけ口や相談できる人を作ることが必要ではないでしょうか?友達や家族には相談しづらい…という方は一度お試し感覚でカウンセリングにいってみるのもいいかもしれません。

 

また、いわゆる「規則正しい健康的な生活」を意識してみることもうつ病予防になります。

 

体内時計の乱れはうつ病を引き起こす一つの要因になりますが、朝に起きたら日光を浴びたり、三食きちんと食べたりするのは体内時計の調節になります。

また、適度な運動はセロトニンの分泌を促します。

健康的な生活の中は、体だけでなく心にとっても大切なのかもしれません。

 

補足として、気にしすぎないということも大事だと思います。

 よくうつ病になりやすい人の特徴で「真面目」「完璧主義」ということがあげられますが、多分そういうタイプの人だと少しでもストレスや生活の乱れを感じると、それが体に良くないことだと思うストレスでさらに悪化して、ストレスのループにハマってしまうことが多い気がします。

 

 

 

以上、気分障害について簡単にまとめてみました。もしかしたらいつか治療法などについてさらに詳しくまとめることがあるかもしれません。