リスキーシフトとコーシャスシフト
リスキーシフトとは、集団での意思決定は個人での意思決定よりも極端に危険な選択になってしまう現象です。逆に、集団で何かを決定する際に、個人で決めるよりも無難すぎる選択になってしまうことをコーシャスシフトと言います。
そしてこれらをまとめて集団極性化現象と呼んだりします。
実際には危険な選択を行う方が目立つせいか、リスキーシフトの方が問題になることが多いです。例えば、かつて日本がアメリカと戦争を始めることを決めた際には、当時の日本の指導者たちはこのリスキーシフトに陥っていたとされています。
なぜこのような相反する二つの現象が引き起こされるのでしょうか?
諸説ありますが、阿部(2006)の発表によると、次の4つの要因があるとされています。
エリートの存在
企業や国家はその規模が大きければ大きいほど、そのトップの指導者たちは輝かしい経歴を持ったエリートになってきます。当然優秀な人材ですが、このようなエリートと呼ばれる人たちの弱点として、プライドが高く過去の成功体験に固執する傾向にあり、それが極端な選択につながってしまうのかもしれないとされています。
過去の成功体験と過度の楽観主義
集団極性化現象が起きやすい状況としては、過去にその集団内で、誰か中心人物主導で成功した体験があることが挙げられます。「今までこいつのいうこと聞いてきて何とかなってきたし、今度も同じようにしていればどうにかなるか」といったような感じです。
閉鎖的・仲良しグループの存在
専門的な言い方をすると「凝集性」といったりします。集団のメンバー同士が仲良しであることはいいことだと思われがちですが、極端な決定をしやすいというデメリットもあります。
きわめて主観的・非科学的態度
実際に極端な選択をしてしまった集団のメンバーに、後でそのことについて話を聞いてみると「どうしてあんな選択をしてしまったのか自分でもわからない」ということが多いそうです。
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