抗精神病薬とは?
抗精神病薬は主に統合失調症の治療に用いられる薬です(それ以外にも双極性障害の躁状態や老年期の精神障害でも用いられることがあります)。
基本的な作用としては、ドーパミン受容体を遮断することで中脳辺縁系のドーパミン系の過剰な活動を抑えます(統合失調症の陽性症状は中脳辺縁系のドーパミンの過剰分泌が大きな要因になっていると考えられています)。
抗精神病薬は定型精神病薬と非定型抗精神病薬に分けられます。資料によっては定型精神病薬は従来薬、第一世代抗精神病薬、非定型抗精神病薬は新規薬、第2世代抗精神病薬と呼ばれたりします。
定型精神病薬
定型精神病薬はフェノチアジン系、ブチロフェノン系、イミノジベンベル系、ベンズアミド系、その他の薬に分けられます(化学構造の違いで分けられています)。
定型精神病薬の中で有名なものとしてクロルプロマジン、スルピリドなどが挙げられます。
クロルプロマジンは初めて抗精神病薬として用いられた薬剤で、2つ目の抗精神病薬が開発されるまで時間がかかったため、「抗精神病薬=クロルプロマジン」という期間が長かったそうです。そのため、日本では陽性症状の尺度としてCP換算(クロルプロマジン換算)というものが使用されました。クロルプロマジン100㎎と同じ効果量にするには何㎎必要かという換算方法です。「東京ドーム何個分?」みたいな感じですね。
スルピリド(ドグマチール)は統合失調症でないけれど処方されたことがある、という人もいるかもしれません。スルピリドは統合失調症の陽性症状以外にも抑うつ症状、胃や十二指腸潰瘍の改善にも効果が見られます。また定型精神病薬で見られがちな副作用である錐体外路症状が比較的現れにくいことも大きなメリットです。このような特徴があるため、内科で処方されることもあります。
定型精神病薬は副作用が強く現れることが多いです。
中でも多く見られるのが錐体外路症状です。錐体外路症状とは運動機能の障害です。具体的な症状について軽く説明すると、手足の震え、手足の不快感、奇妙な姿勢、関節の不自然な動きなどです。総じて、不自然な体の動きが見られることがあります。
非定型抗精神病薬
非定型抗精神病薬は定型精神病薬の副作用などの問題点を改善されるために開発されました。そのため、定型精神病薬より副作用が小さく、統合失調症の第一選択薬として用いられる薬も多いです。
非定型抗精神病薬にはSDA群、MARTA群、DSS群があります。
SDA(Serotonin Dopamine Antagonist)
MARTA(Multi-Acting Receptor Targeted Agent[or Antipsychotics])
いろんな神経伝達物質に作用します。
DSS(Dopamine System Stabilizer)
ドーパミンに作用しますが、完全に遮断はしません。
種類
主な定型精神病薬
フェノチアジン系
ブチロフェノン系
ブロムペリドール(インプロメン)
チミペロン(トロペロン)
イミノジベンジル系
クロカプラミン(クロフェクトン)
モサプラミン(クレミン)
ベンズアミド系
その他
ゾテピン(ロドピン)
主な非定型抗精神病薬
SDA
リスペリドン(リスパダール)
ペロスピロン(ルーラン)
ブロナンセリン(ロナセン)
パリペリドン(インヴェカ)
MARTA
オランザピン(ジプレキサ)
クエチアピン(セロクエル)
DSS
アリピプラゾール(エビリファイ)
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